2024年9月14日(土)、立教大学大学院経営学研究科経営学専攻リーダーシップ開発コース(LDC)の説明会をオンライン&オフラインミックスのハイフレックス形式にて開催しました。池袋キャンパスに集まってくださったみなさま、日本全国からオンラインで参加してくださったみなさま、誠にありがとうございました。
説明会前半の「教職員パート」では、教職員がコースの特色や入試制度について説明を行い、続く「在学生・修了生パート」では、1年次、2年次の在学生及び修了生が、LDCの学びについて、受験勉強から在学中の生活、授業内容、修了後の活動まで詳しく紹介しました。
説明会後半は、いくつかの教室、オンライン上のブレイクアウトルームに分かれ、参加者からの個別質問に在学生、修了生が直接答える相談会が行われました。
今回の説明会にご参加いただけなかった方にもLDCへの理解を深めていただけるよう、説明会レポートを「教職員パート」「在学生・修了生パート」「個別相談会パート」の3回に渡ってお届けいたします。
<在学生・修了生パート「在学生&修了生から見たLDC」の流れ>
◇入学前
●私たちの受験体験談・受験決意・勉強開始の時期・受験理由・受験勉強のあれこれ
◇在学中
●年間スケジュール・入学してから今日まで・1週間の過ごし方とポイント
●1年次の半期の振り返り・学びから実践へ
●プロジェクト(クライアントワーク)について
●1年次秋学期:「人材開発・組織開発2」
●2年次:「リーダーシップ・ファイナル・プロジェクト」
◇修了後
●個人としてのキャリア
●LDC修了生のアルムナイ活動
※当記事の記載内容は2024年度のコース運営に基づいています。
◇在学生・修了生パート「在学生&修了生から見たLDC
「知の消費者」ではなく「知の生産者」となるべく、「学びの場は自らつくる」のがLDCのモットー。説明会も毎年、学生主導で企画されています。在学生・修了生パートでは、現役の1年次8名、2年次3名とLDC修了生2名の計13名が参加し、「在学生&修了生から見たLDC」というテーマでプレゼンテーションが行われ、LDC入学前から修了後まで「LDCのリアル」を伝えました。
プレゼンテーション冒頭から全員がニックネームで自己紹介。「LDCでは、グループワークも多く、チーム内ではフラットに話し合える環境づくりのため、お互いをニックネームで呼び合う文化があります」「あだ名で呼び合うと、距離が縮まりやすいし、チームワークも円滑に進むように思います」とのことで、和やかでアットホームな雰囲気が伝わってきます。ここからはプレゼンテーションの内容をダイジェストでお伝えしていきます。
◇入学前
【私たちの受験体験談】
まずは、1年次の3人がそれぞれの受験体験と受験のコツについて語りました。
Aさん「コツコツ推薦図書 を読んで準備していたものの、説明会でクセのある文化に動揺…」
[私の挑戦]「ニックネーム呼び」の説明会でひるんだものの、熟考の末受験へ
[受験のコツ①]自分が探求したい「問い」を明確にして、最適な学び舎を選ぶ
[受験のコツ②]PC単語登録・付箋・情報一元化で解答時間を短縮!
Bさん「受験勉強は思ったよりもハード。でも挑戦する楽しさが上回った」
[私の挑戦]専門外の経営学修士で大丈夫か?
[受験のコツ①]目指す世界を実現するためにはLDCが最適解なのかを自問自答
[受験のコツ②]推薦図書以外の基礎的な経営学の本も読んだ
Cさん「同志からの刺激で受験に向けた学びが加速する…それは入学後も活きる」
[私の挑戦]受験決意が入試3か月前の11月頃。理系で経営学は門外漢。推薦図書の多さ・英語試験対策に焦る
[受験のコツ①]SNSで志同じくするメンバー4人(初対面)で集い、想定問題を作って入試対策
[受験のコツ②]学習領域を整理して各領域の知識の核になる本を熟読した
【受験決意・勉強開始の時期】
在学生は受験をいつ頃決意したのでしょうか。1年次、2年次の在学生、および修了生(3期生)46名を対象に行ったアンケート結果によると、半年から2カ月前に決意した、という人が46%と最も多く、昨年の説明会で受験を決めた人も多かったようです。では、実際に受験勉強を始めたのはいつ頃だったのか?というと、半年~2カ月前が43%、2カ月前~直前が26%となっていて、在学生の約7割が「入試の半年前から直前まで」の間に受験勉強を始めていたことが分かりました。「ただし、早いにこしたことはありません。ぜひ1日も早く、今日から勉強を始めてください」というのが在学生からのリアルなアドバイスでした。
【受験理由】
在学生がLDC受験を決めた理由はどのようなものだったのでしょうか。「理論と実践の往還ができる、理論だけではなく、現場で役に立つ実践知を学ぶことができる」「自身のキャリアに活かすことができる」「人材開発、組織開発の仕事に生かすことができる」といった理由を挙げる人が多かったようです。そのほかには、「オンラインで学ぶことができ、育児と両立できそう」「説明会が魅力的で、今しかない、と思って申し込んだ」といったものがありました。
【受験に向けて…プロジェクト計画書】
LDCに出願するにあたって壁となるのが、入学後、実際にクライアント組織に介入し課題解決を行うプロジェクトについて記載する「プロジェクト計画書」です。これは2年次に10カ月間かけて行う「リーダーシップ・ファイナル・プロジェクト」の計画書となります。入学前には、なかなかイメージできないものではありますが、「大学院に進学することで、解決したいと思ったことを、率直に熱意をもって記すことが重要」とのことでした。
【受験に向けて…英語対策】
LDCに出願するにあたっては、TOEFLやTOEIC、IELTSなどの英語資格・検定試験の成績証明書も求められるため、出願に間に合うよう、早めに受験しておく必要があります。成績証明書が送付されるまでには、時間がかかる場合もあるため、「特にTOIECで出願しようと考えている方は、今すぐ申し込むことをお勧めしたい」とのことでした。
【受験に向けて…筆記試験・口頭試問対策】
過去問を参考に、短時間で自分の考えをまとめる練習を行うなど、しっかりと筆記試験・口頭試問対策をして臨む必要があります。筆記試験はオンラインかつオープンブック(持ち込み可)形式のため、推薦図書を参考に自分なりに要点をまとめた用語集のようなものを作って臨んだ、という人が多かったようです。「受験勉強はどうしても孤独な戦いになってしまうため、SNSなどで仲間を募って、一緒に勉強することがお勧め」だといいます。もちろん一度で合格できるとは限りません。「一度不合格となり、再度受験して合格した。再受験してでも入学した価値はあった、と心から感じているので、不合格になったとしても、諦めずに挑戦してほしい」とのこと。
◇在学中
【年間スケジュール】
入学後はどのような日々が待っているのでしょうか。LDCのカリキュラムはほとんどが必修の授業で構成されています。下記は今年度の年間スケジュールを「チーム演習」「個人演習」「講義&レポート」という3種類の授業形態別に色分けしたものです。このように見ていくと、1年次の方が授業数も多く、特にグループワークでおこなう「チーム演習」が多いこと、2年次には修士論文にあたるリーダーシップ・ファイナル・プロジェクトが中心となり「個人演習」が多くなっているということが分かります。また、人材開発・組織開発・リーダーシップ開発の大学院ということで、この領域に特化した授業が多い、ということも見て取れます。
【1年次:入学してから今日まで】
4月に入学してから半年間のスケジュールは下記の通りです。入学時にグループ分けがされ、リーダーシップ・ウェルカム・プロジェクト(LWP)が始まり、7月の最終成果発表会ではテーマに基づいて開発したオンライン・ワークショップを行いつつ、チーム内の相互フィードバックによりリーダーシップ開発を自身で体験します。それ以外にも、中期経営計画の策定をする経営学概論やリーダーシップ教育論、戦略的人的資源管理、組織行動論などの講義、レポートがあります。 春学期は7月に終了しますが、8月には「ケースで学ぶリーダーシップ」の集中講義があり、新たなグループが結成されてリアルクライアントに対する課題解決プロジェクトを行う「人材開発・組織開発論Ⅰ」がはじまります。「いつが忙しいのか?と、よく聞かれるのですが、まんべんなくずっと忙しかったように思います」とのこと。仕事との両立は簡単ではないようです。
【1週間の過ごし方・時間のやりくり】
LDC生のほとんどが仕事をしながら学んでいます。LDCでの学びと仕事、プライベートとはどのように両立させているのでしょうか。下記は1年次の在学生2人が「1年次の春学期で最も忙しかった」という1週間のタイムテーブルです。
<1年次春学期のある1週間(チームMTG多め)の例>
「5月末の一番忙しかった週です。前週にリーダーシップ教育論の講義が終わったので、そのレポートがあり、経営学概論の発表の準備があり、リーダーシップ・ウェルカム・プロジェクト(LWP)のコンテンツ立て直しなどのミーティングがあり…ということで仕事以外は1週間ほぼ毎日やることがありました。この頃はLWPのオンラインチームミーティングを20時~22時頃まで週2~3日はやっていましたので、夜は早めに寝て、課題や読書などは早朝に行っていました。チームミーティングのやり方や頻度などは、チームによって様々で、早朝にやっているところもあれば、勤務時間の関係で就業時間後の時間に会社内でミーティングをしていた、というところもあったようです」
<1年次春学期のある1週間(個人作業多め)の例>
「始まったばかりの4月には関係構築のため、もう少しチームミーティングが多かったのですが、5月以降は主にSlackでやりとりをするようになっていました。この1週間は7月のリーダーシップ・ウェルカム・プロジェクト(LWP)の最終成果発表会に向けたコンテンツ作成や授業の課題を中心的に行っていたため、個人作業が多くなっています。忙しくても日曜日だけは、子どもと遊んだり、ジムへ行ったりとプライベートの時間に充てるようにしていました」
仕事やプライベートとの両立を図るうえでは、
・家族と相談し、家庭内の役割分担を見直すなど、理解を得られるようにする
・職場に大学院のことを伝え、職場の理解を得るようにし、場合によっては業務量を調整してもらう
といったことを事前に行っておいたうえで、
・自分自身の趣味やプライベートの予定などはちょっと我慢することも必要
だとのことです。
LDCでは、チームミーティングだけでなく、オンデマンド動画の視聴や課題図書の読み込み、レポート作成などでインプットとアウトプットを繰り返しながら学びを深めていくことが求められます。仕事とプライベートとの両立は容易ではありませんが、「LDCにはこの機会に思い切り学びたい!という人たちが集まっており、そうしたメンバーと共に学ぶ時間はとても貴重です。楽しいこともいっぱいあり、それ自体がリフレッシュにもなります。そして、チームで互いに助け合いながら学ぶからこそ、大変なことも乗り越えていかれるように思います。大変だけど、やりがいと大きな学びがある、それがLDCです」と話していました。
【LDCの学びのリアル…1年次の半年を振り返って】
多くの在学生、修了生がLDCについて「大変だけど、やりがいと大きな学びがあります」と評します。ですが、具体的にどう“大変”で、どのような“やりがいと学び”があるのでしょうか。1年次の2人が、入学からの約半年間を振り返って「結構たいへんですよ…」と、まとめた「LDCの学びのリアル」が下記の通りです。
[学習・研究の難易度]
・経営学、リーダーシップ開発、人材開発・組織開発、組織行動論、戦略的人的資源管理(人事の仕事)など、学びの領域がとにかく広くて深い。
• ITスキルも結構大事(オンライン授業&ワークショップ、Googleのクラウド、kintoneなどなど)
• アカデミック・プラクティショナーをめざすことが求められる。論文を読むこと、学術的な知見から物事を見ること、論じること。そして、それを実践につなげること。
[時間とお金]
• 授業外も結構時間を使う。個人レポート作成でも、文献を調べるだけで、すぐ時間が無くなる。論文を調べるだけで2,3時間かかって終わってしまうことも。
• LWPのグループワーク、全授業で最も多く授業外の時間を使う。グループへの貢献意欲から、長時間化しがち。メンバーが集まる時間がなかなか合わないことも。
• 課題が集中する時期は、わりと修羅場。夏も課題がいっぱいある。
• 8月は、平日も授業あり。お盆もあって仕事の調整も大変だった。
• 書籍を買うのにお金がかかる他、月に1度、対面授業があり、ハイフレックスでも受けられるが、対面で参加する場合、特に地方の人はその都度、交通費、宿泊費がかかる。
[リーダーシップ]
・LWPのグループワークは、属性も出身業界も背景も異なるメンバーが約3か月間顔を突き合わせるため、グループ内で葛藤も起き、思ったようにうまくいかないことも。お互いにそれぞれのリーダーシップ課題をフィードバックしあいながら、自分自身のリーダーシップを体験していく。
• LWPやケースで学ぶリーダーシップでは、見たくない自分自身のリーダーシップ課題に向き合わなければいけないことも多い。耳の痛いフィードバックや自分の嫌いな自分にどこまで向き合えるか?これまで蓋をしてたような大事な課題に向き合わせられ、耳が痛くなるようなつらさもある。
【LDCの「学び」の特長…1年次の半年を振り返って】
結構ハードで、一筋縄ではいかないLDCの学びの実態が見えてきましたが、1年次の2人は「でもね、めっちゃ面白いんです!」「おもしろい授業、素晴らしい体験、学びが深まる課題ばかり。大変だけど全てが力になっているし、実務に活かされていると感じます」と話し、半年間のLDCでの学びを下記のように振り返ります。
[誰から学ぶか]
・LDCの授業にハズレなし!!全ての授業の質が高い。そして、それぞれの授業内容がつながっていくので理解が進む。
・どの先生の授業も、よく練られていて、興味深い。OBを含むさまざまなゲスト講師も登壇。
・事務局の手厚いフォローがあり、仕事と両立できる。
[何を学ぶか]
・LDCで理論を学び、すぐに仕事で実践に活かすことができる。
例1)6月からリーダーシップ・ウェルカム・プロジェクト(LWP)をもとにしたPBL(Project Based Learning)を会社の部内で実施
例2)授業で扱った人的資本経営の話をクライアントと話す
・フィードバックをもらうことで、自分を見つめ直せる。
例)LWPの中で行われる相互フィードバック「ほろにが治療院」
[誰と学ぶか]
・同じ興味をもつ意識が高い同級生、先輩と共に学ぶことができる。
例)入学後すぐに先輩方とつながることができる2年次が主催する「ウェルカムブース 」
・ついていくためには、自分が変わるしかない。
[どのように学ぶか]
・講義だけでなく、ワークショップの企画や、学部生の授業の見学、インタビューなど多様な学びができる。
例1)LWPでは学外の方に向けて中途採用者の課題を解決するワークショップを実施
例2)立教大経営学部の学部生のプログラム(BLP)の見学、業界リーダーへのインタビューなども体験
【LDCは「学びと実践のコミュニティ」…1年次の半年を振り返って】
「面白いのは、授業だけじゃない!」授業以外に自主的コミュニティ活動が活発に行われているのもLDCの大きな魅力です。入学からわずか半年の間にも下記のように様々なコミュニティ活動が行われたようです。
[コミュニティ・ビルディング]
・4期生による5期生応援プログラム:プロジェクトの心構えができました
・zoomで「放課後」:ボヤいたり、励ましあったり。雑談の中から生まれる気づきが大きな学びになることも!
・飲み会:授業後、授業外、関西でも。応援し合う関係づくりになりました
・家族ぐるみのお付き合い:家族メンテナンスはとても大事! 軽井沢でBBQも。
・この説明会:説明会も学生中心の企画。私たちが生の声を届けています
[学習]
・論文を読む会:毎週土曜日。リーダーシップ・ファイナル・プロジェクト(LFP)では100本ぐらい読む必要があるらしい、とのことで定期的に読む習慣づくりになっています
・止まり木:月1のリフレクション。実践の多いLDC。自己認知と他者の自己認知が自分の使い方を上手にしてくれています。
・ 問いの会:「問い」の探求。OD、HRDどっちにとっても、最もパワフルな介入は「問い」。
・読書会:読みづらければ、読み進まなければ、一緒に読めばいいじゃない!
・ MBTI:自分とみんなをさらに深く知る機会に
[越境]
・学会参加:夏休みは学会シーズン。最新の生の研究はよい刺激に
・ 甲南大・尾形先生のインタビュー
・ た展(経営学部舘野ゼミの展示会)見学
・ 帰ってきたラーニングバー2024
・ 早稲田大学リーダーシップ開発の授業見学
「孤独に学ばない、というのはこういうことかと入学して分かりました。ほんとうに忙しいし、大変ですが、日常的にSNSで職場でのできごとを共有したり、悩みを相談したり、コミュニティがあることで、励ましあいながら学び続けられます」
【プロジェクト(クライアントワーク)について】
LDCでの学びの最大の特長は、授業の中で、企業や非営利団体など実際の組織、リアルクライアント向けの課題解決に取り組むプロジェクト(クライアントワーク)に取り組むというところです。プロジェクト(クライアントワーク)の機会は2回あります。1回目は、チームで取り組む1年次秋学期の「人材開発・組織開発2」で、2回目は個人で取り組む「リーダーシップ・ファイナル・プロジェクト(LFP)」です。
リアルクライアント向けのプロジェクトということで、「外部クライアントを見つけられるのだろうか?」と不安に思われるかもしれませんが、同期や先輩、アルムナイの方々のつながりもあり、それほどクライアント探しに困ることはないそうです。
このプロジェクトの特長は「理論と現場の往還」。現場の生々しい人と組織の課題を、これまで学んできたアカデミックな知見を用いて、クライアントに寄り添いながら解決していくという経験は、LDCならではのものです。
【1年次秋学期「人材開発・組織開発2」】
まず、1年次の秋学期に「人材開発・組織開発2」という授業で、人材開発・組織開発のサイクルを学びながら、4カ月に渡って外部クライアント(企業、学校、非営利団体など)に対して、このサイクルに基づいた課題解決のプロジェクトをチームで行います。クライアントワークを経験した2年次の在学生の一人はプロジェクトについて「現場の悩ましい現状をクライアントと探索しながら、アカデミックな視点をもって課題特定を行うことに苦労しましたが、臨床と科学の往還を身をもって体感することができました。クライアントからは『あなたたちがいなければこの組織は終わっていた』との言葉をいただき、いい経験となりました!このクライアント組織とはリーダーシップ・ファイナル・プロジェクト(LFP)において引き続き支援を継続しています」と話していました。
<人材開発・組織開発2プロジェクトの流れの例>
【2年次「リーダーシップ・ファイナル・プロジェクト(LFP)」】
2年次にはLDCでの学びの集大成となる「リーダーシップ・ファイナル・プロジェクト(LFP)」に取り組みます。LFPとは、約10カ月かけて外部クライアントに対する人材開発・組織開発のサイクルに基づいたプロジェクトを行うもので、人や組織のリアルな課題をアカデミックな知見をもとに解決していくことにチームではなく、個人で挑戦します。そして、そのプロジェクト実践をまとめたアカデミック・ペーパーを提出することがLDC修了の要件となっています。
LFPは受験の際に提出した「プロジェクト計画書」に基づいて行うということになっていますが、実際には、入学後、扱うテーマやクライアントを変える人も多いようです。 個人プロジェクトとはいえ、決して孤独になることはありません。月に一回程度、先生方との面談もありますし、日常的にお互いに情報交換をしたり、みんなで集まって勉強会をしたりと、1年次から続く学びのコミュニティで互いに支えあいながら進めることができます。
現在、LFPに取り組んでいる2年次の在学生は「チームではなく、一人でクライアントワークや報告書執筆に取り組む、というのはしんどいですが、やりきった後、自分がどうなっているのか、自分の成長が今から楽しみです」と話していました。
<リーダーシップ・ファイナル・プロジェクトの流れの例>
修了生の一人は「複数回のデータ収集・分析を経て、最終的にプロジェクト対象者を変更するなど、課題の特定に苦戦しました。プロジェクトと報告書作成を通じて、『アカデミックな知見を活かした実践』と、その『振り返り・記録』を経験することができ、アカデミック・プラクティショナーとしての自信がつきました」とLFPについて振り返っていました。
LFP報告書タイトルは以下からご覧いただけます。
2021年度修了
2022年度修了
2023年度修了
◇修了後
LDC修了後、修了生たちにはどのような変化があったのでしょうか?また、アルムナイ活動にはどのようなものがあるのでしょうか?
【個人としてのキャリア】
LDCの学びはキャリアにどのような影響を与えているのでしょうか? LDCの在学生28名への調査によると、LDCで学びはじめたことで、25%の人が「人材・組織・リーダーシップ開発関連の業務を任せられるようになった」と答えています。また、21%が「昇進・昇級そして昇給した」と答えており、キャリアにプラスに働いていることは明らかです。
LDC修了生の中には、HR部門に異動になった人、転職して人事職やコンサルタントとして活躍している修了生が複数います。また、大学の非常勤講師、研修講師、人事コンサルタントなどの副業を始めた人、独立して起業した人などもいて、LDCで学んだことが、それぞれのキャリアに大きな影響を与えていることが分かります。修了生の個人としての活動も広がっており、立教大学経営学部ビジネス・リーダーシップ・プログラム(BLP)の講師を務めている人、LDC授業やLDC教員ゼミのサポートに携わっている人もいるほか、博士後期課程に進学し、研究者としての一歩を踏み出した人もいます(1期生:1名、2期生:2名、3期生:1名)。修了生の一人は「私も今年転職しましたが、選考の際には、ファイナル・プロジェクトについて話すなどして、LDCで学んだことが有利に働いたと感じています」と話していました。
【アルムナイ活動】
修了生によるアルムナイ活動も活発に行われています。また、自身で手を挙げれば参加できる、様々な学びの機会にも恵まれます。
リーダーシップ・エンドレス・プロジェクト(LEP)
1期生が立ち上げたリーダーシップ・エンドレス・プロジェクト(LEP)では、定期的にオンラインミーティングを開催し、 活動や研究の共有・相談をしています。 3月には立教大学にて第2回となるLFP報告会が開催され、修了生12名がそれぞれの現場での実践や研究成果を報告しました。
部活動
2期生が中心となって設立したランニング部は、期を越えてアルムナイから在学生まで誰でも参加できる活動です。 時には教員や事務局が参加することも。月1回のペースで開催され、ランで汗を流した 後は、お茶会で仕事や研究について語り合っています。 今年度は3期生により、登山部も発足しました。
読書会
LDCの講師主催の対話型読書会。アルムナイ&在校生&事務局&その仲間たちが参加し、7月は英語の文献を皆で分担して要約&対話しました。
LDC講義サポート
在学生向け講義の運営サポートや、修了生として一部の講義に参加できる機会があります。在学中とは異なる新たな景色を見ることができます。在学生との交流によりコミュニティが広がります。
特別講義
在学生・修了生向けの特別講義が行われることも。先日は「AIとHR」人事領域のAI活用 に関する特別講義が行われました。アルムナイのつながりのおかげで最新の学びをアップデートすることができます。
【業務にひろがるLDCの繋がり】
LDC修了後、修了生同士や講師とのコラボレーションが本業・副業で次々と生まれています。期をまたいだアルムナイ同士がタッグを組んで副業として組織開発プロジェクトを行ったり、講師の一人である田中先生の学部ゼミ生と修了生の勤務先企業とがコラボして若手社員向けのワークショップ開発を行ったり、自著を出版した修了生もいます。
修了生の一人は「LDCに入るということは、大学院で2年間学ぶ、ということではなく、一生学び続けられるコミュニティに参加することなのではないか、という気がしています。そう考えると、2年分の学費は十分に元を取ることができるし、今ではそれ以上の価値があったと感じています。今日の説明会を聞いて『自分もLDCで学びたいな』と思われた方は、ぜひ今日から挑戦を始めていただきたいと思います」と話しました。
◇クロージングメッセージ
在学生&修了生パートの最後の画面には在学生、修了生から下記のようなメッセージが映し出され、最後に司会役を務めた在学生2人、教職員から一言ずつ、クロージングメッセージが送られました。
「今日は長時間に渡り、説明会にご参加いただき、ありがとうございました。画面に在学生、修了生からのメッセージを表示しました。私は『孤独に学ばない!仲間と共に学ぶから、刺激も楽しさもあります。自分アップデートできる豊かな学びが満載の学校です!』と書かせていただきました。自分自身、去年と何が変わったのだろう?と考えてみると、勉強の仕方が変わったなと感じています。一人で学ぶスタイルから、仲間と共に学ぶスタイルになりました。やはり仲間と共に学ぶことで、想像もしていなかったほど成長することができていると感じています。来年、共に学ぶ仲間としてお迎えできることを楽しみにしております。ありがとうございました」(1年次在学生)
「今日は様々な問いをいただき、自分を振り返るいい機会をいただくことができました。私がこの大学院に入って良かったと感じていることが1つあります。仕事をしていると、誰しも辛いこと、大変なことが多々あるものですが、それら全てが研究のネタになる、ということです。LDCに入ってからは、なぜこの仕事はうまく行かなかったのだろうか?学術的に説明する先行研究や理論はあるのだろうか?などと調べたりして、日々の仕事を面白がることができるようになりました。来年、共に学び合う仲間としてお会いできることを楽しみにしております」(2年次在学生)
最後に中原先生が、「みなさま、本日はお越しいただき、誠にありがとうございました。人事はアカデミックにおいて、研究が最も遅れた領域であり、MBAであっても4単位ほどしか学ばれない領域です。ハーバード大で人事が科目として入ったのは1981年のことでした。しかしながら、この国において人事はとても重要です。どの企業でも労働力の確保は経営課題となってきていますし、これからは100%人事の時代になります。ぜひ日本の遅れた人事をアップデートしていき、みなさんの力で新しい人事をつくっていっていただきたいと願います。私は最近、すっかり我がなくなってきて、今は世のため人のため、『世直しモード』です。どうか一緒に世直しに参加してくださる方に来ていただけたらと思っています。
さて、本日の説明会はいかがでしたでしょうか?教員、事務局、在学生、修了生、そして、みなさんオーディエンスがいてこの場ができました。少しでも楽しんでいただけていたとしたら嬉しいです。大学院の説明会は工夫すればフェスかライブのように楽しい場をつくることができます。私たちは楽しい、ということを大事にしています。といっても、ただ楽しいだけではなく、シリアスファンです。このシリアスファンを味わい尽したい、と思われた方は、ぜひLDCにいらしてください。本日はありがとうございました」と話し、説明会は終了しました。