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  • 2022.12.20
  • 在学生の声
  • 在学生インタビュー 「LDCの学びは人事の仕事に活かせていますか?」 人事担当者が語るLDC パート2

リーダーシップ開発コース(LDC)は、人づくりと組織づくりの大学院ということで、現役の人事担当者も数多く在籍しています。日々、仕事を通して様々な人事課題に取り組んでいる人事担当者は、LDCでの学びをどう捉えているのでしょうか。果たしてLDCの学びは日々の業務に活かされているのでしょうか?現役で人事のお仕事をなさっているLDC1年次の竹内利英さん、畑中亮介さん、正木茂さん、平澤孝子さんの4名に、お話を伺いました。


パート2では、正木さん、平澤さんのインタビューを掲載します。
※パート1はこちら



「50代からの強烈なアンラーンで自分自身を変えることができました」
正木 茂さん


―お仕事内容などを教えてください。

正木さん 食品メーカーグループのホールディングス(以下、HD)会社で執行役員CHRO兼人事部長をしています。HD人事部ではHDの人事だけでなく、一部事業会社の全ての人事業務を担当しています。労務も給与も制度も人材開発も組織開発も戦略人事も…端から端まで全てを1つの人事部で行っているというところが特徴的な組織です。
もう1つ特徴的なのは、私の経歴です。経理の仕事でキャリアをスタートした後、人事で給与労務、海外子会社でCFOを経験、その後、システム構築の仕事などに携わり、3年前から人事部長として人事全般の仕事をしています。というわけで人事本流のキャリアではありません。その分、客観的に人事のことを考えられるという利点はあるかもしれない、とは思っていますが、なかなか大変です。


―LDC入学を決めたきっかけを教えてください。

正木さん 私は脳科学に興味があり、「人間の脳は死ぬまで成長する」ことを信じています。社員に対しても日頃から「学ぶこと、チャレンジすることは死ぬまで続けなければならない」などと話している手前、「自分自身も学び、挑戦していなければ、かっこ悪いな」と思っていました。言うからには自らやらなければ、と思ったのが先ず1つ目の理由です。2つ目は、中原淳先生の書籍やWeb記事などを読んでいるうちに、いつのまにか引き寄せられてしまった…というのが正直なところです。といっても、大学院というのはハードルが高かったです。ですが、“無免許人事部長”というのは嫌だったので(笑)、しっかり免許を取得しようと思い、チャレンジしました。


―LDCで学び始めてどのような変化がありましたか?

正木さん 2つ大きな変化がありました。ひとつめは「世界地図を見せてもらった」ような感覚で、人事という仕事の全体像をつかむことができたことです。人事部には様々な仕事があり、採用だけ、配置だけ、評価だけ…といった形で、それぞれ別々の担当がやっています。どの仕事も業務量は膨大にあり、それぞれが自身の担当業務だけに特化した働き方をしていているため、全体像を意識していません。LDCで学ぶことで、自社の人事部がどのような構造になっているのか、機能と相互のつながり、全体像を初めて捉えることができました。そのことを社内で説明したところ「そういうことだったのですね」と、部員たちにも腹落ちしてもらうことができました。また、経営陣に対しても、説得力を持って人事部の仕事の意義を伝えられるようになってきました。


―まさに人事部の仕事の“端から端まで”全体像が見えてきたわけですね。変化のふたつめはどのようなことですか?

正木さん ふたつめは、「自分自身を変えることができた」ということです。LDC入学後すぐに始まったリーダーシップ・ウェルカム・プロジェクト(LWP)で、フィードバックにより自身の思考、感情を内省する機会があり、ここで私は、自分を眺める体験をして、強烈なアンラーンがありました。
私は自分が「社会人歴が長い&役職者である」といった鎧を常に身にまとっていることに気づかされました。そして、その鎧を脱ぎ捨てた状態で「どう考える?どう行動する?」と問われると、何もできない自分に気づかされました。同じチームにいた若いメンバーの方がはるかにシャープに考え、行動していました。それを目にしたとき、「自分の30年のキャリアは何だったんだ?」という問いを突き付けられました。アンラーン、などという生易しいものではなく、本当に辛く、痛いものでしたが、その痛みが私を変えました。翌日、私は会社で「私の行動をこう変えます」と宣言しました。「自分の意見を押しつけるのではなく、まず、聞きます」「感情的にならないよう、毎日瞑想します」などなど…。部下は全員ビックリしていました(笑)。
50代からのアンラーンはシビアで、相当な覚悟が必要です。50代にもなると、今さらどうしようもない、なんとか逃げ切ろう、などと思ってしまうので、なかなか変わることはできません。LDCに入らなければ、私は変わることができなかったと思います。これからどうなるかは分かりませんが、自分が変わったためか、職場も少しずつ変わってきているような気がしています。





「周囲のことも自分自身のことも俯瞰して捉えられるようになってきました」
平澤 孝子さん


―どのようなお仕事をなさっているのか教えてください。

平澤さん:コンサルティングファームの管理部門担当HRBPをしており、人事としては12年目になります。HRBP業務の他、全社施策を管理部門の戦略・方針に沿って実効性のあるものにする役割もあり、評価・育成制度の浸透施策を中心に、エンゲージメントサーベイの活用、カルチャー醸成の取り組み等を担当しています。


―LDC入学を決めたきっかけを教えてください。

平澤さん:ここ数年、2つのもやもやとした悩みを抱えていたのですが、その突破口になる、とLDC入学を決めました。
悩みの1つは、「HRBP(HR Business Partner)」というからには、担当部門の部門長の組織と人に関する本当のパートナーになりたいと、課題に対して書籍や人事の先輩に学んで取り組んでいたものの、場当たり的に切り抜けている感じがあって、常にこれでいいのか悩んでいました。部門長と同じ目線で組織・人について捉え、支援できる引き出しを持てるよう、経営学をベースにしつつ、組織・人について実践的に学びたい、でもMBAは違うし、人事スキルを学ぶ講座もピンとこない…どうしたらいいのかな、と思っていました。
もう1つは、人事としての今後のキャリアを考えた時に、何となく先が見えてそれに対して魅力を感じられなくなってきていたということがあります。人と組織の可能性を拓く仕事をしたい、と試行錯誤してきたのですが、自分が擦り切れてしまっていたんだと思います。自分の可能性を拓くチャレンジをしたい、でも何にチャレンジしたいのか、すればいいのか、忙しさに取り紛れて日々が過ぎていました。
そんな中、昨年12月に1週間入院することになり、自分の棚卸しをしたり、今後のことをゆっくり考える機会がありました。病院のベッドの上でのネットサーフィンをしていて「人づくり、組織づくりのプロフェッショナルを育成」する、「自らのリーダーシップを磨いているのか?という厳しい問いに敢然と立ち向かう人材を育成したい」というLDCに辿り着いた時「これだ!」と受験を決意しました。入試まで残り2ヶ月。必死に勉強して何とか滑り込むことができました(笑)


―LDCで学び始めて、変わったところはありますか?

平澤さん:はい。入学初日からスタートするリーダーシップ・ウェルカム・プロジェクト(LWP)は、「1階」部分でチームで課題解決に向けたワークショップ開発プロジェクトを行い、「2階」部分でプロジェクトでの各メンバーの活動を振り返って自身のリーダーシップ開発を3ヶ月間で行うという構成になっています。このLWPの節目で、チームのみんなからのフィードバックを通じて自分の傾向や癖に気づき、向き合いながら自身のリーダーシップ開発を行うのですが、メタ認知ができている方だと思っていたのに、肝心な根幹の部分を認識できていないことを痛烈に自覚することになりました。
この経験をその後、じわじわと味わい直していくうちに、「あの時こうすればよかった」を活かして、職場で周囲の人の力や知恵を借りてみるようにしたのですが、より良い学びの場が作れるようになったり、お互いに扶けあう機会が増えて仕事が楽しくなってきました。


―LDCで学んだことはお仕事に活かされていますか?

平澤さん:LWPで「1階」と「2階」を行き来しながらプロジェクトとチーム、自分を俯瞰して見る、行動する、を繰り返すことを通じて、自分の視点を意図して変えられるようになってきました。人とやりとりする際に、以前よりも背景や経緯などに思いを巡らせて理解することができるようになり、仕事でもより建設的に意見を交わしながら協働できるようになってきたと感じています。
入学の動機についても、LDCでは企業での勤務経験や実践の場を持っている先生が多くいらっしゃるため、部門長の目線の理解も進み本当の「HRBP」になるために役立っていると感じています。またLDCには、本気で学ぼうと思っている人たちが集まっているので、刺激をもらったり、扶けあいながら学ぶという恵まれた環境の中でもっと自分が変わっていけるのではないかと感じており、時間のやりくりは相当ハードなのですが、「自分の可能性を拓く」という入学の動機を忘れずに学びと実務の往還を楽しんでいきたいです。