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  • 2026.05.20
  • 修了生の声
  • 組織の壁と向き合い、実践を続けるLDC修了生たちのリアル

リーダーシップ開発コース(LDC)は、人材開発や組織開発に携わる実務家が、理論と実践の往復を通じてリーダーシップを深く学ぶ大学院プログラムです。では、その2年間の学びは、修了後どのように活かされているのでしょうか。

年に一度、修了生・在学生・教職員が一堂に会する「LDCアラムナイ・ホームカミング」は、期を越えた交流を通じて、修了後の実践や学びを持ち寄り、コミュニティのあり方を共に考える場として開催されています。

当日は、さまざまなセッションや対話が行われる中で、修了生同士がそれぞれの実践や変化について語り合いました。

本記事では、2026年3月14日(土)に立教大学池袋キャンパスで開催された同イベントの中から、「修了後、LDCの学びはどう活かされていますか?」をテーマに登壇したお二人の対談をもとに、修了後の取り組みやご自身に起きた変化を紐解いていきます。 

 

●登壇者

2期修了生 佐々木孝仁さん

三井物産人材開発 副社長戦略企画室長

 

 

3期修了生 竹内利英さん

サッポロビール 人事総務部タレント&カルチャーグループ 組織開発プランニング・ディレクター

 

 

●モデレーター

3期修了生 栗原 慎太郎さん

IT企業勤務

 

 

 

―本日は組織づくりのプロフェッショナルとして活躍されている修了生お二人にお話を伺います。まずは現在のお仕事の状況や近況について教えてください。

 

佐々木孝仁さん(以下、敬称略) 三井物産人材開発という会社で戦略企画と人事を担当しています。今の会社に入って17年ほどになります。近況としては、LDCを修了した直後から立教大学大学院経営学研究科の博士後期課程に進み、3年間研究を続けています。実践の中で、どれほどダイバーシティやインクルージョンの重要性が云われていても、職場ではなかなかインクルージョンに至っていない、ということに問題意識を感じており、職場レベルのインクルージョンを実現する「インクルーシブ・リーダーシップ」を研究テーマとしています。過去の先行研究を記事などで発信することで、講演依頼などをいただく機会も増え、研究が実践に還っていくいいサイクルが生まれていると感じています。

 

竹内利英さん(以下、敬称略) サッポロビールで組織開発の仕事をしています。LDCの2年目に人材開発と採用の責任者となり、卒業して1年経ったタイミングで、組織開発の専任者となりました。LDCの受験を志した2020年ごろから、継続的に組織開発の必要性を訴え、担当業務の傍らで有志活動的に組織開発の実践を行ってまいりました。その取り組みが実り、2025年春に組織開発専任者となり、26年度からは人事総務部内に「タレント&カルチャーグループ」が新設されました。 今はそこで風土変革や組織開発の仕事をしています。そのほかに、副業として他社の人事制度策定や人材開発の支援を行ったり、大学でキャリア授業の講師も務めたりもさせていただいています。

 

―LDCでの学びをどのように実践で活かしていらっしゃるのか教えてください。

 

佐々木 人材開発、組織開発の支援をする会社におりますので、LDCやその後の博士課程で学んだことをベースに社内でリーダーシップ研修を開発したり、LDCの先生の方と一緒に組織開発のフレームワークを構築したりと、学んだことは全てそのままコンテンツ開発に活かせています。LFPでは、実際に会社のクライアント様にお願いしたのですが、その時のコンテンツは今でも活用されています。一方で、現場での実践があるからこそ今も学び続けられている、というところもあります。現場で直面した問題意識が研究の源になっていますし、「実践に活かせる」ということが研究を続けるモチベーションにつながっています。LDCに入って一番の気づきは、「学び続けること」と「実践し続けること」の大切さです。この両輪を回し続けることが、自分を支える基盤になっていると感じています。

 

竹内 LDCでの学びを活かし、組織開発の専任者として活動しています。現在私が取り組んでいるのは役員層の変革です。これまで若手の人材育成やマネジャーのリーダーシップ変革といったことをやってきたのですが、組織全体を変えていくためには、やはり経営層へのアプローチが必要だ、と感じるようになりました。実際に社長や取締役といった経営トップへの取り組みをはじめたところ、かなりいい変化が起き始めているので、これから全社にその影響を広げていきたいと考えています。あと、私は以前、会社の野球部の責任者を務めていたのですが、想いを託した後任者が、その後人事に着任し、今ではLDCの6期生として学んでいます。後輩がついてきてくれたこと、それ自体も、LDCでの学びのアウトプットの1つとして個人的にすごく嬉しいことです。

 

―お二人とも大変ご活躍なさっていますが、悩んでいることや、直面している課題などはありますか?

 

佐々木 活躍しているかと言われると、現在も研究と実践の両立に苦戦している段階にあり、正直まだまだと感じています。実践面での悩みは、やはり「影響力を持たないと変えられないことがある」という点です。どれだけ正しい理論や良い提案を持っていても、最終的には組織の中で影響力を行使できなければ、大きな変化は起こせません。成果にコミットするためには、時には望まないないことも含めて取り組むような「したたかさ」も必要になるのかもしれない、ということを痛感しています。

 

竹内 非常によく分かります。LDCを修了して武器を手にすることができたとしても、それをすぐに実践で使える、というわけではないですよね。私も、4年間ずっと組織開発の必要性を訴え続けてきましたが、なかなか理解者を増やすことができませんでした。ところが、環境変化もあり会社が変革の必要性に迫られたことで、人事部門のミッションも制度運用や労務管理から、「組織風土変革」にフォーカスしていこうとう機運が高まり、過去からの提案が実り今に至るという経緯があります。私自身の現在の悩みは、やはりまだまだ人事組織をはじめ社内の仲間に組織開発ってなに?を理解してもらえていないことです。今、会社としての人材戦略を作り直しているところなのですが、足元の人事組織が一枚岩になれていなければ、それを全社へ広げていくこともできません。まずは、お互いの考えの背景にあるものや、私たちが社内からどう見られているのかを話し合う対話の場をつくるなどして、一歩一歩進めていこうと考えています。

 

―人事組織内の理解を得るというのも大変ですよね。佐々木さん、なにかアドバイスはありますか?

 

佐々木 仲間づくりって、大変ですよね。アドバイスと言えるかどうか分かりませんが、小さいことから始める、敢えて遠回りのことからやってみる、ということをおすすめします。以前、私が新卒採用を弊社で始めたとき、最初は「大変そう、現場の負担もかかる」と反対されました。ですが、3年、4年と続けていくうち、その方法で採用した人材が活躍し始めると、周りも「やってみてよかった」と認めてくれるようになりました。実績を積み重ねて、実証していくことが重要だと思います。

 

竹内 ありがとうございます。「小さく始める」というのは本当にそう思いますね。あと、人事だけでやらずに、他部署を巻き込むことも大事かな、と思っています。将来のリーダー候補である若手層のハイパフォーマーたちを巻き込み、一緒に活動することで成功事例をつくってしまう、とか。

 

佐々木 他部署を巻き込む、というのはいいやり方ですよね。戦略企画とか経営企画とか、変革に前向きな部署の人たちを巻き込むとさらに進みやすくなる気がします。

 

―最後に、LDCの仲間へのメッセージをお願いします。

 

佐々木 私はLDCアラムナイのクレド「学びも実践も私も閉じない」というのが、すごく心に響いています。私もあなたも、ここにいるみんなが心を閉じることなく、対話を通じてお互いに開かれていけば、きっとなにか新しいことが起こせるはずだ、と思うからです。小さなことでいえば、この場で仲間と再会して話すだけでも、「もう少し頑張ってみよう」「社内のちょっと苦手な人とも、もう一度対話してみよう」などと、小さな勇気や前に進む力をもらえる、といったことがあります。このアラムナイコミュニティが、そんなふうにお互いに力を与え合える場になればいいなと願っています。

 

竹内 私は営業時代、「持てる武器を全部使って勝負する」ということを大事にしていたのですが、これは今も同じだと思っています。LDCで得た知識やスキルはもちろんですが、このアラムナイのつながりや先生方との関係、全てが自分の課題解決に活かされています。実際に、ここにいる多くの皆さんと仕事でご一緒したり、勉強会を開いたりと、公私にわたってお付き合いさせていただいていて、LDC修了後もその輪はどんどん広がっています。LDCでの学びを実践でどう活かすか、というときに強い味方となるのが、このアラムナイの仲間たちの存在です。ぜひみなさんもこの場でのつながりを最大限に活かして、ご自身の活動をどんどん加速させていっていただきたいです。