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  • 2026.09.07
  • 在学生の声
  • LDC在学生座談会「AIで学びはどう変わった!?AIとともに学ぶ大学院のリアル」

AI技術が急速に普及する今、人づくり、組織づくりのプロフェッショナルを育成する大学院、リーダーシップ開発コース(LDC)では、「AIはもはや単なる道具ではなく、学習パートナーである」という認識のもと、2025年9月よりすべての学生・教職員を対象に、セキュアな有償版生成AI(Google AI Pro for Education)を導入しています。LDC生は、授業はもちろん、レポート作成やデータ分析など様々な場面でAIをフル活用して学びを深めている…はずですが、果たして気になるその実状はどうなっているのでしょうか?2026年4月に入学した7期生の森さん、土屋さん、荒木さん、長久さんの4名にお話いただきました。

 

 

―LDC入学後、4カ月ほど経ちました。本日は、みなさまがどのようにLDCの学びにAIを活用なさっているのかをお聞きしたいと思います。まずは、みなさまがこれまで、仕事やプライベートでどの程度AIを使っていたのか。そして、LDC入学後にAIの活用方法をどのようにして学んだのか、ということを教えてください

 

森さん 入学前、日常のちょっとしたことをChatGPTに相談する程度で、AIはほとんど使ったことがありませんでした。AIを本格的に使い始めたのはLDCに入学してからのことです。入学後すぐに始まるリーダーシップ・ウェルカム・プロジェクト(LWP)のチームメンバーにAIが得意な方がいて、ガントチャートやチームの状態を可視化するシートをつくるためのプロンプトを教わるなど、チームメンバーと一緒に使いながら慣れていく…という感じでした。

 

土屋さん 生成AIには比較的慣れている方だったかと思います。プライベートではChatGPTが登場した初期から触れており、会社ではGeminiを使っています。研修効果をどうすれば定量的に示せるかをGeminiに相談しながら資料作成するなど、この1,2年は、Googleで検索するよりも、まずはAIに聞いてみる、というスタイルが定着しています。実はLDCの受験勉強もAIと一緒にやっていました。中原淳先生のブログ記事やSNS投稿をAIに読み込ませて、先生の関心事がどこにありそうかを分析させたり(笑)、HRの最新トレンドについてまとめてもらったり。LDCの入試の予想問題も作ってもらったのですが、実際に似たようなテーマの問題が出題されました。勉強時間が限られる中、ポイントに絞った勉強を行っていく上では効果的な活用方法だったと思います。

 

荒木さん 入学前は「副業にも必要になりそうだし、これからはAIを使えるようにならなければいけないのだろうな」という漠然とした意識はありつつも、実際には自分の考えを軽く壁打ちする程度で、「使いこなしている」とは言えない状態でした。印象に残っているのは、リーダーシップ教育論の授業で行った「ライフストーリーインタビュー」です。自分の人生に関する質問に答えていくと、AIが内容を分析し、そこから導きだされるリーダーシップ像を一枚の絵にしてくれる、というもので、加藤走先生が「AIでつくった」と話されていて、「こんなこともできるのか!面白い!」とAIの活用に前向きな気持ちになりました。

 

長久さん AIは入学前から使っていましたが、契約書の文言の添削やアンケートの集計を手伝ってもらったり、「これについて要約して」と一問一答形式で作業を依頼したりするような使い方が中心でした。プロンプトを打ち込んで本格的に使い始めたのはLDC入学してからです。リーダーシップ・ウェルカム・プロジェクト(LWP)のチームメンバーからプロンプトを教えてもらうなど情報交換をしつつ、実際にAIを使ってAIと対話しながら学んでいった感じです。あと、6月頃にGoogleの方が学部生向けに開催していたAI活用に関するセミナーに私たちも参加する機会があり、AIを使い始めたものの、まだまだ慣れていない時期だったので結構参考になりました。

 

 

―LDCの学びの中でどんな風にAIを使っていますか?授業や課題などでAI活用してみての感想や印象に残っていることを教えてください。

 

森さん リーダーシップ開発論の授業で、トランプの神経衰弱ゲームを通じてリーダーシップの発揮方法を学ぶといった授業があったのですが、そのゲームアプリを先生がAIで作成したと聞いて驚きました。「もしかして私にもできるかも?」と思い、その日のうちにAIと対話しながら挑戦してみたところ、4時間ほどで大学院のタスクや課題を管理するための自分好みのアプリができてしまいました。これが、初めて「AIを本格的に使いこなせた」と感じた成功体験で、すごく嬉しかったです。

 

土屋さん 森さんが「タスク整理ツールのアプリを作った」と発信しているのを見て、「自分にもできるかもしれない」と思い、私もアプリ開発をやってみました。私はコツコツと勉強時間が積み上がっていくのを見るのが好きなので、タスク整理だけでなく、課題や授業、ミーティングの時間を自動でグラフ化してくれるアプリを作ったのですが、所要時間は約3時間。それも、作り方を検索やYouTubeなどで手順を知るのではなく、AIにやり方を聞き、AIと一緒に作っていくというような感覚でできたのが驚きでした。

 

荒木さん 毎回グループワークの順番を決めるのが面倒だったので、アミダくじアプリを作ったり、授業のリアクションペーパーをAIにチェックしてもらうツールを作ったりはしていたのですが、正直なところ、私はLDC生の中でもAIの活用レベルは低い方だったと思います。そんな私が、リーダーシップ・ウェルカム・プロジェクト(LWP)では、なぜかワークショップ向けの「1on1を評価するGem(Geminiのカスタム機能)」を作ることになってしまいました。はじめは全然うまくいきませんでしたが、周りの仲間に助けられながら試行錯誤し、最後はワークショップ参加者の方からも「良かったですよ」と言ってもらえるような形にまで持っていくことができました。AIに一番疎かった私ですが、半年も経たないうちに、1on1を評価するツールを開発するところまでいけたのは、相当自信になりました。

 

長久さん 私は、授業や課題などだけでなく、LDCで学ぶ自分自身を「メタ認知」し、感情の整理や思考の整理をするためにAIを活用しています。「今思っていること」「やりたいこと」「でも、できていないこと」などを、思いつくまま音声入力し、AIに整理してもらいます。それを、NotebookLMのようなツールで自分の状態を可視化していくと、自分の状態を客観的に把握できますし、「次はどうしようか」とAIと一緒に考えていけば、自分専用のカウンセラーやコーチがいるような感覚になります。その都度、自分自身を客観視して、少し休みを取ったり、今月はこれに注力しようと決めたりし、次の一歩を踏み出す力をもらっていました。

 

 

―入学と同時に始まる「リーダーシップ・ウェルカム・プロジェクト(LWP)」では、チームで協働して「AIを活用したオンライン・ワークショップの開発」をすることが求められました。AIツールを活用したワークショップ開発、やってみていかがでしたか?

 

森さん 私自身、AIをそれほど使いこなしていたわけではなかったので、正直、めちゃくちゃ難しかったです。「AIを使って参加者に学びを得てもらう」というゴールをどう達成すればいいのか、最初は全く見当がつきませんでした。特に難しかったのは、チーム内で「AIを使ったワークショップ」のイメージをすり合わせることです。AIに慣れているメンバーもいれば、私のように慣れていないメンバーもいて、慣れているメンバーは完成イメージが頭の中にあるのですが、慣れていないメンバーとそのイメージを共有することができず、認識を合わせるまでにかなり時間がかかりました。

 

土屋さん 授業で普段からAIを使っている私たちの感覚で作ったワークショップを、参加者はどう受け取るのか、その距離感を測るのが難しかったです。課題から日々の学習まで、毎日Geminiに触れている私たちが「Gem(Geminiのカスタム機能)です」と言っても、参加者は「Gemって何?」から始まります。プロンプトも同様です。AIが市民権を得つつあるとはいえ、専門用語までは知っているという人は多くありません。参加者を誰ひとりとして置いていかないように、言葉の使い方や表現を工夫しました。

 

荒木さん ワークショップでは、参加者側からどう見えるのかがつかみにくく、苦労しました。つらかったのは、当初使う予定でいたAIで生成したHTMLに、直前で差し替えが必要になったことです。そのHTMLは、Geminiのアカウントがないと見られない仕様で、LDC内ではみんながアカウントを持っているので問題なかったのですが、参加者の環境では見られないことが分かり、急遽方針を変更することになりました。また、ワークショップ開発の過程で、みんなが「AIをどう使うか」ということばかりを考えるようになってしまうことがありました。そんな時、チームメンバーの一人が「目的は1on1の質を高めることで、手段のAIが目的化してはいけない」と軌道修正してくれたのですが、ツールに踊らされず、本来の目的を保つことの大切さを改めて感じました。

 

長久さん AIの扱いで難しかったことが3点ほどありました。1つめは、誰もAIを使ったワークショップの経験がなかったので、どんなことができるのかイメージができなかった点です。そのため、そもそもAIをどう使うか、というアイデア出しから模索が始まりました。2つめは、AIを使って、どのような学びにつなげるか、ということの見極めが難しかったことです。AIにフォーカスし過ぎると、私たちはこのワークショップを通して何を届けたいのか、というところを見失いがちで、何度か議論になりました。3つめは、ワークショップ参加者にきちんと届けるために、どうすればユーザーフレンドリーな設計ができるか、というところです。AIツールの用い方をどう説明するか、アウトプットはどの程度の長さが適切か、といったところは細かく気にしました。

 

 

―最後にお聞きします。AIを活用した学びのメリット、デメリットをどのように感じていますか?今後、希望することや改善してほしいことなどはありますか?

 

森さん メリットは、時間がかかっていたことが、ごく短時間でできるようになったことですね。特に感じているのはデザインの部分です。プレゼン資料づくりも、以前は、ここにグラフを配置して、文字の色を変えて…とすごく時間をかけてやっていたのですが、今はあっという間にデザインを作ってくれて、そこに自分の意見を入れるだけ、という感じなので、見栄えも効率も圧倒的に良くなりました。一方、デメリットというか、AIを使いながら葛藤を感じる瞬間があります。LDCは課題の量も多いので、文献の検索や論文の要約にAIは欠かせませんが、果たしてその知識が本当に身についているのか、思考が深まっているのか、というと疑わしい。時々は立ち止まり、どこまでAIを活用するべきか見直す必要があるね、とチームで話していました。

 

土屋さん 時短になる、というのはもちろんメリットですが、個人的には「AIと対話できる」という点が大きい気がしています。自分で考えたことをただアウトプットして終わりではなく、AIは様々な視点から応答してくれるので、そのやり取りを通して理解や考えを深めていくことができます。一人で勉強していても、まるで二人で取り組んでいるような感じがあり、一人でいる時間の質が高まったように思います。デメリットについては森さんと一緒で、課題に追われていると、AIの活用が「学び」なのか「逃げ」なのか「時短」なのか分からなくなってくる時があります。

 

荒木さん AIのメリットは、「効率化」に加えて、「拡張」というイメージがあります。最初はAIを使うことに対して、カンニングのような後ろめたさを持っていましたが、今はそれぞれが持つ能力を拡張するものなのだと思うようになりました。AIをうまく活用することで、まるでモビルスーツを装着した時のように、一人でやれることの量と幅が大きく広がるように思います。デメリットとしては、その学びが本当に自分の「芯」の部分にしっかりと浸み込んでいるのかどうか、本質的に理解できているのかどうか、疑心暗鬼になってしまうところがあります。書籍などを読む際には、「行間に思いを馳せる」といったことがあるかと思いますが、AIが要約してくれることで、じっくりと深く読み解いていくべき部分を読み飛ばしてしまっているのではないか、といった不安があります。

 

長久さん メリットはやはり「タスクの効率化」です。課題のスケジュール作成など、煩雑な作業を瞬時にこなしてくれるのは非常にありがたいです。また、AIによって「アクションのスピードが上がること」もメリットだと考えています。思いついたアイデアを、AIと話しながら具体的なアクションプランに落とし込んでいけば、すぐに行動に移せます。デメリットはあまり感じていませんが、みなさんがおっしゃる「本当に学びになっているのか」というモヤモヤに対しては、AIをいつどこで使うか、使わないかを決めることなのだと思っています。

 

―今回の座談会では、LDC生たちが、AIを単なる効率化、省力化のためのツールとしてではなく、思考を深め、能力を拡張する学習パートナーとして主体的に活用している様子が伝わってきました。一方で、学びにAIを取り入れることに対する複雑な思いも率直に語っていて、「学ぶとはどういうことか」という本質的な問いと向き合っている姿が印象的でした。LDC7期生の学びはまだまだ続きます。