人づくり、組織づくりのプロフェッショナルを育成する大学院であるリーダーシップ開発コース(LDC)は、「フルオンラインで経営学修士を取得することができる」ということも大きな特徴のひとつです。そこで、オンラインでの学びの実態について、LDC1年次の中西 信介さん、村上 佑里子さん、岡内 彩さん、川井 萌さんの4名に、お話を伺いました。

―まずはみなさまに、自己紹介をお願いします。また、大学院選びの際に「オンラインであること」をどう捉えていたのかも教えてください。
中西 信介さん(以下、おしん) 都内で保育園やこども園を運営する法人で、人事を担当しています。現在は育休中で、0歳児を含む3人の子育てをしており「オンラインで学べること」は私にとって入学の絶対条件でした。育休を機に、大学院に行くことを考えていたのですが、妻が働いているため、私が家で子どもを見ながら学びの時間を確保するためには、オンラインという選択肢しかなかったのです。もしLDCが対面授業を中心とした大学院だったとしたら、そもそも受験自体を諦めていたと思います。
岡内 彩さん(以下、みかん) 浜松に本社がある会社で、人材開発、組織開発の仕事をしています。同期の中で唯一の関東圏外の在住者で、名古屋に住んでいます。高校生と中学生の2人の子どもがおり、夫は仕事でほとんど家にいないため、大学院で学ぶために毎週末家を空ける、というのは現実的ではありません。オンラインでなければ、LDCは受験の選択肢にすら入っていなかったと思います。現在は仕事もフルリモートなので、オンラインの恩恵を受けながら、仕事と学び、家族との生活の両立ができています。
村上 佑里子さん(以下、ゆっこ) 都内のIT企業で人事の仕事をしています。オンラインであることは受験を考える際、非常に重視したポイントでした。昨年、第一子を出産し、産休・育休中に入学しました。入学してからこれまで、関西の実家に4ヶ月滞在していたほか、岩手県で2週間の移住体験をするなど、子どもと一緒に二拠点居住のようなことをしていました。短期間で住むところを変えても問題なく学び続けられたのは、オンラインだったから。私も「オンラインでなければ通っていなかった」と思います。
川井 萌さん(以下、もやお) IT人材育成のための研修を提供する会社に勤務しています。私は他の方と違って、子どもはいないのですが、大学院を選ぶうえで、オンラインで通えるということは非常に重視するポイントでした。というのも、LDC入学前に、他校の大学院の講座に通おうとして挫折した経験があったからです。その授業は週に1度、平日の18時半~22時まで都内のキャンパスで行われていた講座だったのですが、通学に1時間かかるため、仕事は17時半には切り上げなければならず、帰宅は23時になってしまいます。週に1度でも仕事後に通学するのはかはりハードで、3回で諦めました。そんなこともあって、オンラインで学べる社会人大学院であるLDCを選びました。
―「オンラインだけでしっかりと深く学べるの?」という不安を持つ方も多いと思います。LDCのオンライン授業について、率直にどう感じていますか?
おしん 私も、入学前にはオンライン授業ってどうなのだろう、と少し不安に思っていました。ですが、LDCの授業は学習研究の専門家がデザインしているだけあって、ただ黙って講義を聴くだけの一方的な授業はありません。必要な知識は事前にオンデマンド教材でインプットできるようになっており、授業中はグループディスカッションに多くの時間が割かれています。みんなで話し合うことで、インプットした知識の理解度も高まりますし、学んだ知識をどう実践に活かすか、という視点で考えることができます。オンラインだと授業前後の雑談などができず、人間関係をつくれないのではないかと思われるかもしれませんが、それも心配ありません。Slackなどを通じて、同期で頻繁に情報共有をしたり、助け合ったり、雑談をしたりしているので、分からないことがあったら気軽に質問もできますし、オンラインでも、お互いに支え合いながら安心して学ぶことができます。
みかん LDCに入学して何より驚いたのは、授業課題のためのグループワークが非常に多いということです。オンラインでグループワークって、うまくできるの?と心配する方がいるかもしれませんが、むしろオンラインであるからこそ、効果的、効率的にグループワークを進めることができます。対面授業だと、メンバー全員の予定を合わせて場所を確保する必要がありますが、オンラインなら、朝でも夜でも、さっと集まって話し合うことができます。また、様々なツールを使ってオンライン上で効率的に進めるノウハウも自然と身についてくるので、コミュニケーションロスも少なくなり、生産性も高まります。オンラインの社会人大学院だからこそ、仕事をしながらも、多くのグループワークをこなせているし、濃密な学びが実現できているのだと感じています。
ゆっこ 「人とのつながりをつくること」「共に学びあう仲間をつくること」も、大学院進学の大事な目的のひとつ。その点、「オンラインでは、深い人間関係を築けないのではないか」と、LDC入学を躊躇する人がいるかもしれません。私も「対面でなければ同期と仲良くなれないのではないか」と少し不安だったのですが、LDCに入学し、オンラインでもしっかりと人との深いつながりを築けることに驚きました。LDCはとにかくグループワークが多く、お互いの内面や価値観に触れるような深い対話をする機会がたくさんあります。また、ほぼ全ての授業に必ずディスカッションの時間が設けられているので、分からないところがあっても、メンバーと話し合いながら理解を深めていくことができます。オンラインだからこそ、頻繁に濃密に話し合うことができ、ただ教室で一緒に授業を受けるだけの関係よりも、よほど密な関係性を築けていると感じます。
もやお 私はもはや、オンライン授業の方が対面授業よりも学びの質が高いのではないか、とすら思っています。オンライン授業のときは、授業を聞きながら、同時並行で同期とSlackで盛んにやりとりをしています。分からないことがあっても「今の先生の発言の意図は?」「どういうことだろう?」などと投げかければ、すぐに同期から返事が来るので授業に置いていかれることなく、その場で理解が深まります。こんなことはリアルではできません。LDCでは、自分から「やろうよ」と声を上げれば上げるほど、学びの相乗効果を得ることができます。「自ら学びの場をつくっていこう」という姿勢で臨めば、オンラインでも対面授業以上に質の高い学びを得ることができます。
―子育てと学びの両立を図るうえで、オンラインであることが役立っていると感じていますか?
おしん 我が家には子どもが3人いるので、オンライン授業中に子どもが部屋に入ってくるのは日常茶飯事(笑)。もちろん、いない方が集中できますが、家にいながら授業に参加できるのは本当にありがたいです。特に金曜の夜などは、子どもたちを置いて家を出ることは難しいのですが、オンライン授業なら、家族に「何かあったらすぐに呼んでね!」という安心感を与えつつ、しっかり授業を受けることができます。オンラインであることが、家族から学びを応援してもらえる大事な要素になっていると感じます。
みかん 家で私がオンラインで学んでいる姿を見せることが、子どもたちにも良い影響を与えているように思っています。私の場合は子どもが高校生と中学生とある程度大きいので、「今こういうことを学んでいるんだ」と教材を見せ、「あなたならどう思う?」と意見を聞いて親子で話し合うこともありますし、先日は、オンラインでグループミーティングをしている時に高校生の娘が「私も挨拶していい?」と顔を出し、同期メンバーと少し話したりもしました。様々な職種、業種で働く大人たちが真剣に話し合ったり、学びあったりしている姿を間近で見ることは、子どもにとって良いキャリア教育の機会になっているように思います。
ゆっこ 子どもがまだ小さいこともあり、通学にかかる往復の時間をすべて子どものために使えるのが、オンラインの最大のメリットだと思っています。授業が始まるギリギリまで授乳をしたり、おむつ替えをしたりしていて、時間になったらPCの前に座る、ということができるからこそ、両立ができています。また、育休という子どもと過ごすための時間に、自分の学びを選んでいることに、罪悪感のようなものを感じてしまうところもあったのですが「授業以外の時間はしっかり子どもとの時間にあてられる」ということが精神的な支えにもなっています。
―LDCの授業は基本的にオンラインですが、年に数回、土曜日に対面(ハイフレックス)授業があります。対面授業の際はどうしていますか?
おしん LDCでは対面授業の際も、基本的にはハイフレックス形式となっていてオンラインで問題なく受講できます。私の場合、家庭の事情もあり、対面授業の参加率は高くありませんが、特に支障はありません。対面の会議や授業の際、少数派のオンライン参加者はどうしても孤立しがちですが、LDCではそれがないからです。先生方がオンライン参加者に対して、置いてきぼりにならないよう、話を振るなど気配りをしてくださいますし、LDC事務局の方々が音響や映像、グループ分けなどをきめ細かく調整するなど、オンライン参加者が疎外感を覚えることのないよう、丁寧に環境づくりをしてくださっている、というところも大きいです。
みかん 私の家は子どもたちも大きいので、対面授業の際はなるべく対面で参加するようにしています。始発に乗れば、なんとか池袋キャンパスに着くので、土曜日の対面授業に参加する際は、基本的には前泊せずに当日の朝、電車で行っています。私だけが関東圏以外に住んでいるということもあり、「同期のみんなに直接会える」と思うと余計に行きたくなってしまうんですよね。といっても、対面授業が連続したときは、留守番などの心配はないものの、2週末連続で家を空けるのはちょっと大変なので、片方の週はオンライン参加にしました。状況に応じてオンラインという選択肢があるのは、とても助かっています。
ゆっこ 私も対面授業にはなるべく出たいと思っているので、対面参加する授業を1年の初めに予め決めておき、その日は家族などのサポートが得られるようにしています。LDCでは、4月の時点で1年間の授業予定が公開され、どの授業がハイフレックス型授業かも周知されているので、「この日は絶対に対面で参加したいから、予定を調整しよう」といった具合に予め計画が立てられるのもいいところです。
あと、対面授業について、これだけはお伝えしたい、と思っていることがあります。それは「LDCのハイフレックス型授業は、単に対面授業をリアルタイムに受講できるというだけのものではなく、かなり本気のハイフレックスである」ということです。先日の対面授業の際、少人数でディスカッションをしたのですが、オンライン参加者がいるグループには、そのグループのためだけに機材をセッティングした静かな別部屋が用意されていました。落ち着いた環境で、じっくりと話し合いができたので、リアルとオンラインの壁を全く感じることがありませんでした。そうした事務局のサポートの手厚さ、細やかさにはいつも感心しています。
もやお 私は都内在住で子育て中というわけでもないので、基本的に対面授業はリアル参加しているのですが、一度だけ対面授業にオンラインで参加したことがあります。仕事の忙しさがピークを迎え、1年で最も忙しい日が運悪く対面の集中講義の日と重なってしまったのです。LDCの対面授業のために休みは取っていたものの、問い合わせにはすぐに対応しなければならず、通学のための移動時間さえ惜しかったので、その日はオンラインで参加することにしました。授業が始まる直前まで仕事をし、授業中の短い休み時間の度に仕事をする…という、なんともせわしない1日となってしまいましたが、無事に乗り切ることができました。授業を受けながら仕事も…、というのは決していいことではありませんが、仕事をしていれば、どうしても手が離せないこともあります。オンラインだからこそ学びをあきらめずにいることができました。
―「LDCで学びたいけれども、オンラインの学びに不安があり、LDC受験を躊躇している…」という方がいたら、どんな一言をかけますか?
おしん LDCは「オンラインでも学べる大学院」ではなく、「オンラインだからこそできる学びを追求している大学院」です。個人的には、オンラインで人づくり、組織づくりについて学ぶだけでなく、オンラインをどう活用するかを経験的に学べる、というところもすごくいいなと思っています。ぜひLDCならではの「オンラインの学び」を一緒に楽しみましょう!
みかん 学びと仕事、日常生活と大学院、いろいろなことを融合できているのは、LDCがオンラインだからこそだと思っています。あと、もしもオンラインで学ぶことに不安を持っている方がいるとしたら、それはむしろ、新しいことをたくさん吸収できる伸びしろがある、ということ。思い切ってチャレンジしてみたら、自分自身を大きく成長させることができると思いますよ。
ゆっこ 迷ったら絶対にやった方がいい!学びの環境はしっかりと整っています。共に学び合う素晴らしい仲間にも出会えます。あとは、やるかやらないかだけです。入ってみれば「意外とできちゃう」し、飛び込んでこそ見えてくる世界があります。お待ちしています!
もやお オンラインで学べるということは、単純に通学にかかるはずの時間を有効に使うことができる、ということです。日々をどう過ごすのか、自分の時間をどう使うのか、決めるのは全て自分次第ですが、オンラインで質の高い学びが得られるLDCは、社会人が仕事をしながら学ぶ大学院としては、非常に良い選択肢なのではないか、と思っています。
オンラインでの学びがどのようなものか、伝わってきました。お話を聞かせていただき、ありがとうございました!

