ニュース

ニュース

  • 2025.06.24
  • 授業
  • リーダーシップ論文の海へ飛び込もう!「リーダーシップ教育論」

「リーダーシップ教育論」はリーダーシップ教育・開発の理論的背景を理解し、リーダーシップ教育・開発プログラムの手法を学ぶ1年次春学期の必修科目です。リーダーシップ教育・リーダーシップ開発に関する理論や概念について学び、その実践について理解を深めると同時に、リーダーシップおよびリーダーシップ開発に関する学術論文に触れることで、2年間の学びの土台をつくる授業ともなっています。

 

5月31日(土)、「リーダーシップ教育論」の授業が立教大学池袋キャンパスで行われました。担当はリーダーシップ教育・開発がご専門の立教大学経営学部助教、加藤走先生です。在学生19名が対面、1名がオンラインで参加しました。また、今回はゲストとして、アラムナイ(修了生)8名がリアルで参加、6名がオンラインで参加しています。

 

 

この日の授業は、6回に渡る授業の最終セッションで、それぞれが選んだリーダーシップ研究論文について発表する「プレゼンテーション発表会」が行われました。プレゼンテーションの課題は、「THE LEADERSHIP QUARTERLY」というリーダーシップ研究の国際的な専門誌から興味のある論文を1本選んで読み、その内容を踏まえて、自分が関わる個人のリーダー開発、集団のリーダーシップ開発の提案発表を行う、というものです。

 

8時50分に授業開始。まずは、加藤先生がこれまでの授業の流れを振り返ります。5分間でリーダーシップ開発、リーダーシップ教育の理論や実践についてざっとおさらいができたところで、いよいよ「プレゼンテーション発表会」のはじまりです。

 

 

20名の在学生は4部屋に分かれ、1人15分で興味を引かれたテーマの英文の論文を選び、その論文について紹介しつつ、その内容をどう実践に活かせるかについて発表、その後10分間で参加者とディスカッションします。アラムナイの方は、事前に興味のある部屋をアンケートで回答しており、回答結果に基づき興味のあるテーマのプレゼンテーションを聞き、ディスカッションに参加します。ハイフレックス型教室の機材設営が各部屋で準備されているため、オンラインでも、リアルの参加者と同様に、プレゼンテーションを聞き、ディスカッションに参加することができます。

 

「自分が関心を持て、読みたいと思える論文を選ぶ」ということで、参加者が選んだ論文のテーマは様々でした。シェアドリーダーシップとチームパフォーマンスとの関係について、リーダーシップとクリエイティビティやイノベーションとの関係について、女性のリーダーシップについて、フォロワーシップについて…ゾンビ・リーダーシップについて、といったテーマもありました。かなり限定的な事象に着目した論文から、広範な文献をカバーしたレビュー論文までありましたが、初めて本格的な学術論文に触れる授業ということで、それぞれが“読んでみたかった”論文を探し、読み、新しい知見を得るまでの格闘について嬉しそうに話していたのが印象的でした。

 

在学生の一人は、論文を選んだ理由について「大学院に入ったら、入山章栄先生の『世界標準の経営理論』にも出てくるような著名な論文を読んでみたい、と思っていたので、実際に読むことができて感動した」と話していました。また、別の在学生は、「一言でリーダーシップといっても、様々なものがあり、リーダーシップについての論文はややこしすぎ!論文を読み始めて逆にもやもやしてきた」などと感想を述べていました。

 

アラムナイの方からは、「概観が掴めるのがレビュー論文の良さ。このあたりをもっと深めたら面白そうだな、というものを見つけて、その論文を読んでみるといいと思う」「LDCを修了した後、職場で様々な問題に直面する度に、LDC在学中に読んだ様々な論文が浮かび上がってきて、現実に起こっている事象を概念として捉えることができるようになった。たくさん読んだ論文が今すごく活きていると感じている」「入学当初は授業の発表時に、『使える論文は無いか?』といった感じで論文を探していたが、『まず50本読め』と言われて読んでみたら、楽しんで読めるようになった」など、たくさんのアドバイスが贈られていました。

 

授業のクロージングで、在学生は「論文には一定の作法、ルールがあるのが分かってきた。まだまだついていけないもどかしさはあるが、まずはたくさん読むのが大事だと思った」「論文は一人で向き合うイメージだったが、みんなで読んで話し合う、解釈の共有ということができて、一人で読むよりみんなで読むのがいいと思った」と感想を述べていました。

 

最後に加藤先生は「論文は一人で読むよりみんなで読むほうがいい、まさにそう思います。もちろん、自分が論文を書く時は一人で読む必要がありますが、みんなで読むことで新しい領域に触れることができるし、多様な解釈に触れることは学びになります。今回は特に、修了生のみなさんにいらしていただいたことで、より論文を読む楽しさが伝わったように思います。ご参加くださった修了生のみなさま、ありがとうございました。」
「みなさん、お気づきになったかもしれませんが、論文はそれぞれが異なった視点をもっています。どのような目線から書かれているのか、その視点の違いに意識を向けると自分自身の視点に気づくことができます。リーダーシップ教育論では、みなさんが今後どのような視点で論文を探していけばいいのか、自分の必要とする論文を見つけるうえで、手がかりとなる地図をお渡ししたつもりです。みなさんが論文の海へと飛び込むきっかけになれば嬉しいです」と授業を締めくくりました。

 


リーダーシップ教育論について加藤先生は、下記のように話しました。

「授業を担当するにあたって意識したのは、リーダーシップ開発コースでの学びをさらに高める授業にしたい、ということです。2年次のLFP(リーダーシップ・ファイナル・プロジェクト)では、現場に必要な論文を自分でピックアップし、研究の知見を活用しながら現場に関わっていくことが求められます。それができるように、入学してすぐの時点でどんな学びの場があると良さそうかを想像して授業を組み立てました。」

「まずは論文を読むにあたって必要になりそうなリーダーシップおよびリーダーシップ教育・開発領域に関する大まかな見取り図みたいなものを一緒に見ていくことを意識して授業を行いました。そうした見取り図のイメージをもってもらったうえで、受講者の皆さんが自分の関心のある論文を見つけて、論文を読んで現場に適用していくイメージを持てもってもらえるきっかけづくりとして、この『プレゼンテーション発表会』を実施しています。」

「今回、自ら興味関心のある領域の論文を持ってきて調べてもらったことで、リーダーシップおよびリーダーシップ教育・開発の領域の広さと深さの一端を感じ取ってもらえたかと思います。アカデミックな知見を実務・実生活に活かすのは一筋縄ではいきませんが、そうした感覚を持って4月から並行して進めているLWP(リーダーシップ・ウェルカム・プロジェクト)や秋学期からの人材開発・組織開発論2、次年度のLFP(リーダーシップ・ファイナル・プロジェクト)に取り組んでいただくことに、アカデミックプラクショナーになるうえで、意味があるのではないか、と思っています。」

「6期のみなさんは、ディスカッションの様子を見ていても、どうすれば人の成長に寄与することができるか、について考えることを楽しまれて学んでいる印象です。お互いの考えを共有したりしている時は、ぐっと深く入り込んで議論をしていて、とても一体感があります。これから論文の海をみなさんで一緒に楽しんで泳いで渡ってほしいです。」


入学後2カ月で論文というアカデミックな武器を手にしたLDC生たち。LDCの学びはまだ始まったばかりです。