10月28日(土)は1、2時限に1年次「人材開発・組織開発論2」の中間成果報告会が、3、4時限には1年次「データアナリティクス演習(以下、DA演習)」の授業が、赤レンガ造りの校舎に絡まるツタが色づき始めた立教大学池袋キャンパスにて行われました。
「人材開発・組織開発論2」の担当は中原淳先生と藤澤広美先生です。人材開発・組織開発論2では、リアルクライアントを対象にグループで人材開発・組織開発コンサルティングを行うことで、クライアントワークの要諦を学びます。在学生はグループ毎に、クライアント企業を探し、コンサルティング契約を結び、キーマンと連携しながら、それぞれの組織の課題を特定、課題解決につながる人材開発、組織開発の働きかけを行い、その成果を評価するまでを9月からの約4カ月間で行います。
はじめに中原先生から「おはようございます。今日はここまでみなさんがクライアントワークを行う中で得られた内容を発表してください。みなさんで議論していきましょう。人材開発・組織開発論2では、グループでプロジェクトに取り組んでいただきますが、これは2年次に個人で取り組むリーダーシップ・ファイナル・プロジェクト(LFP)への助走となります。クライアントワークはクライアントからしか学べません。この仕事は、クライアントと為す仕事です。クライアントに対しては、『Commitment』、『Caring(思いやり)』、『Curiosity(好奇心)』3つのCをもって、ぜひクライアントの親友になったつもりで臨んでください。それとともに、サイエンスとアートを融合するアカデミック・プラクティショナーとして、先行研究やデータ分析といったところも忘れずに取り組んでいただけたらと思います。また、今日の中間成果報告会では、発表を聞いている方へしっかりとお届けする『Deliver』も重要ですので、その点も意識していただけたらと思います。では、みなさんの発表を楽しみにしています」
その後、藤澤先生からグループプレゼンのルールや流れについて説明がありました。中間成果報告会では、全4グループが発表。各グループが15分でプロジェクトの全容をプレゼンし、残りの15分でフィードバック、質疑応答を行います。
今回のクライアント組織(支援対象組織)は企業内組織やベンチャー企業、中小企業、病院など。中間成果報告会では、それぞれの組織のキーマンへのヒアリングを行ったうえで、定量データ、定性データを取得し、組織課題と解決の鍵となる要因を絞り込んでいきます。中原先生は、各グループの発表を聞きながら、教壇横のホワイトボードに手際よく要点をまとめていきます。発表後は、他のグループメンバーから様々の質問、フィードバックを受けながら、課題設定は妥当か、課題解決の鍵はどこにありそうか、どうすれば効果的に介入できそうか、などを検討していきました。挙げられた課題は、人手が足りない、若手が管理職になりたがらない、離職が止まらない、キャリア自律を促したい、経営理念が浸透していない…などなど。様々なものがありましたが、どれもとても現代的で切実な課題ばかりでした。11月以降は、いよいよクライアントへ介入する段階に入っていきます。4グループそれぞれの試みは、経営や現場にどのようなインパクトを与えることができるでしょうか。
授業の最後には、振り返りが行われました。「できていたところ、できていないところが明確になった。プランを再検討したい」「不安だったところ、どうすればいいか分からなかったところがクリアになった」「他のグループの進め方を知り、参考にできて良かった」など、プロジェクトをブラッシュアップしていく、いい機会となったようです。
昼休憩後の3、4時限は「DA演習」の対面授業が行われました。担当は山口和範先生、廣川佳子先生、田中聡先生です。1、2時限では対面・オンラインミックスのハイフレックス形式の授業でしたが、3、4時限には全員がキャンパスに集合し、対面形式での授業となりました。
「DA演習」は、人材開発・組織開発・リーダーシップ開発には欠かせない人や組織にまつわる調査の実施・分析、評価・効果性検証を行ううえで必要な基本的概念の理解を深めていく授業です。単に統計分析についての知識を学ぶだけでなく、調査の実施から分析までを扱い、プロジェクトを進める上で必要となる「統計」、「調査」、「分析」の実践スキルを身につけることを目的としています。
LDCの在学生は修了するまで統計解析ソフトのSPSSを使用することができます。この授業では、全員が統計学の知識と統計解析ソフトの使い方を並行して学び、実際に手を動かしてデータ分析を行います。今期からは、ChatGPTを用いたデータ分析についても授業内で伝えられています。
この日は、授業の最初の1時間は教室内で復習テストに取り組みました。テスト前に山口先生から「これから、データ分析についてのテストを行います。みなさんがどれくらい学んだかと私の教え方がどうだったか、ということの振り返りのためのテストです。60分で説いていただいた後は、グループで『ここはできたけど、ここは分からなかった』といった形で振り返りをしていただき、その後に解説をしていきます」と、お話がありました。
在学生たちは、教室内で各自のPCを使って1時間、前回までに学んだ統計分析についてのテストに取り組みます。テスト終了後は、グループ毎に分かれての振り返りです。午前中の人材開発・組織開発論2の中間成果報告会後ということもあって、在学生たちには少し疲れも見られますが、「難しかった…」、「あの問題はどういうこと?」などと、答え合わせをしたり、テスト内容について話したりしていました。
最後は山口先生による問題解説と質疑応答です。統計のスペシャリストである山口先生は、どんな質問にも鮮やかに答えていきます。単にデータ分析だけを行えばいいわけではなく、しっかりと課題解決につなげるところまで求められるのが、「理論」と「実践」をつなぐアカデミック・プラクティショナーを育成するLDCです。山口先生は理論だけではなく、「理論的にはそうなりますが、実際はこちらのやり方の方が多く使われています。なぜなら…」といった形で、実務においてどう統計を活用していけばいいのか、その考え方についても具体例を交えながら解説していきます。理解できていない人がいないかを気にかけ、何度も「質問はありませんか」と声を掛けながら授業を進めていました。
また、質疑応答においては、山口先生、廣川先生、田中先生3人の先生方が、統計ソフトの使い方に関する質問やクライアントへのデータ収集に関する質問などについてそれぞれ丁寧に対応している様子が印象的でした。
最後は田中先生から次回以降の授業についての説明がありました。この授業は、学んだ内容を人材開発・組織開発論2のリアルクライアントへの介入効果の分析にも活用できるよう授業間が連携して進んでいます。次回は、人材開発・組織開発論2のクライアント組織に対する定量調査をテーマに扱いながら、組織調査、分析方法を学んでいきます。LDCの学びはまだまだ続きます。