7月1日(土)、LDC2年次のリーダーシップ・ファイナル・プロジェクト春学期成果報告会が立教大学池袋キャンパスで行われました。2年次としては今年度初の対面授業です。教室に集まったのは16名、オンラインで2名が参加しました。教員は山口和範先生、石川淳先生、中原淳先生、村嶋美穂先生、佐々木宏先生、細田雅洋先生がリアルでの参加、田中聡先生、館野泰一先生、藤澤広美先生がオンラインでの参加、というオンライン&オフラインミックスのハイフレックス形式での開催です。
リーダーシップ・ファイナル・プロジェクト(LFP)とは、全LDC生が2年次に取り組む実践・研究プロジェクトです。この授業では、人材開発・組織開発のプロフェッショナルとして実践力・課題解決力を獲得することを目指し、チームではなく、一人で本格的なクライアントワークに取り組みます。それぞれが、自分でクライアント組織を探し、その組織の課題を解決するための人材開発・組織開発・リーダーシップ開発の取り組みを実施し、それをアカデミック・ペーパーの形で記述してプロジェクト報告書にまとめます。LFPの修了がLDCの修了要件となっており、まさに大学院での学修の集大成となるプロジェクトです。
プロジェクトのキックオフは1年次の11月に行われており、前年度からそれぞれクライアント組織を見つけ、キーパーソンへのインタビューや関係者のヒヤリング、データ収集などを行ってきました。ファイナル・プロジェクト春学期成果報告会では、ここまで行ってきたプロジェクトの概要と進捗状況を発表し、先生方や他の受講生からのフィードバックを行います。
8時50分に授業がスタート。最初に事務局の加藤走さんから、本日の予定と注意事項について説明があり、続いて中原先生から「今日は楽しみにしておりました。みなさんここまで、忙しく仕事をしながら準備を進めてきたかと思います。ほんとうにお疲れ様でした。今日はクライアント組織の状況が分かっていて課題設定ができていていること、そして先行研究が調べられていること、が本日の発表の前提となります。フィードバックを生かしてみなさんのプロジェクトがフィードバックによって飛躍的に向上することを願います。今日はよろしくお願いします」と朝の挨拶がありました。
9時15分から4つの教室でLFPの成果報告会が始まりました。発表は一人あたり10分、先生方や他の受講生からの質疑応答に15分という形で行われます。発表者はそれぞれがここまで取り組んできたプロジェクトに関して、クライアント組織についての説明、課題抽出の経緯、調査や介入プロジェクトの概要、先行研究や効果測定の方法などを発表します。先生方はプレゼン資料を食い入るように見ながら、フィードバックを行います。
クライアント組織は大企業もあれば中小企業、ごく小さな事業所や学校など業種も業態も様々。それぞれが抱える人や組織の課題を抽出し、どのようなアプローチによって課題解決を行うのかアクション計画が発表されます。教員側からは、「課題設定について、その他の可能性は検討されましたか?」「働きかけについてですが、なぜその方法を選んだのでしょうか?」「なにが課題で、どんな打ち手をおこなって、どんな変化を見たいのか、もう一度整理してみてください」など厳しくも温かい!?質問やアドバイスが投げかけられました。
全員の発表が行われ、最後は山口先生が「みなさん、お疲れさまでした。LFPの中間報告という位置づけでしたが、みなさん、まだ2号目、3合目かと思います。これから先、秋学期の最終成果報告会に向けて頑張ってください。これからみなさんのプロジェクトがどこまでふくらんでいき、最終的にどのような報告書となるか、楽しみにしております」と締めくくりました。
その後は、1年次の成績優秀者を表彰するディーンズリストの発表です。今年は3名が山口先生から表彰状が授与されました。それぞれ「すごく嬉しいです。LFPでもディーンズリストに恥じない結果を出せたらと思います。職場でも上司に報告しました。これからも仕事と学業と両方でがんばっていきたいと思います」「人生で学業で表彰される日が来るとは思いもしなかったです。昨年の夏、本間先生に君は入学して3か月たってどれだけ学んだ?3か月たって何も変わっていなければ、2年後何も変わらないよ、と声をかけられたことを覚えています。今、1年たって、すごく大きく変わりました。仕事の中でも結果を出すことができるようになってきました。今後はアカデミックな部分で結果が出せるようがんばりたいです」「とても嬉しく思っています。1年次春学期は手探り状態でしたが、みなさんに様々なことを教えていただきました。今期は自分が受け取った分だけ返せるよう、頑張っていきたいと思います」と感想を述べました。
お昼休憩をはさみ、14時から16時までは春学期の振り返りを行い、それぞれが秋学期に向けての取り組みを考えます。目的は、LFPについての理解を深め、夏以降の活動計画を行うこと。はじめに、中原先生からLFPの目的、プロジェクト報告書の定義、プロジェクトを評価する観点などについて改めて説明がありました。プロジェクト報告書は「クライアントへのアクションを生み出し、その変化・変容を記述すること」が必須条件となっています。理論と実践をつなぐLDC独自のプロジェクト報告書は、いわゆる学術論文とは異なるものの、単なる実施レポートというわけでもありません。在学生はディスカッションや質疑応答を通じて、理解を深めていきました。
15時からは1人2分ずつ、自身のプロジェクトにおける課題の整理と今後の自身のアクションプランの発表を行いました。「自分はアカデミックプラクティショナーになって修了したいと思っています。プラクティショナーとしては日々やってきていますので、ここからは論文を読み込んでいきつつ、テーマについてアカデミックな観点からの理解を更に深めていきたいです」「今日の発表で『熱意がある』と言っていただけて嬉しかったです。今、クライアントに役に立てるということがとても楽しいです。必ずやクライアントの経営に資するプロジェクトにしたい、と考えています」「定量的な目標として、夏休みには論文を書き始め、11月末には第一版を書き終えるところまでやって行きます」「LFPは大変ですが、今、クライアントへの課題解決のために様々な論文を調べたり、読んだり、学んだりすることがこんなにも楽しい時間なのかと味わっています」など、それぞれが成果報告会について気づいたこと、夏休みそして秋学期に取り組みたいことなど、これからの決意を述べていました。
授業の最後には、藤澤先生から「みなさんのアクション宣言お聞きしました。お忙しい中でのLFP大変だと思います。ほんとうにお疲れ様です。みなさんがクライアントにしっかり向き合っていること、そして熱意が伝わってきました。ぜひ悔いのないプロジェクトにしていただきたいと思います」、中原先生から「仕事とプロジェクトとの両立お疲れ様です。改めてお伝えしたいのは、なぜ、みなさんがここにいるのか、ということです。今、みなさんは、LDC入学時になりたかった自分になっているでしょうか?今一度、振り返って考えて、今やるべきことに取り組んでください。もっと暇になったら論文を読んだりできるのに…と思われるかもしれませんが、今、やらないひとは、一生、やりません。「自由な時間があったら、できるのに」というのは、イリュージョン(幻想)なのです。なお、先行研究レビューやデータの分析などは細切れ時間ではなかなかできません。なんとか1時間程でも確保していただき、それを継続していただければと思います」と、エールが送られました。
LDCでの学びの集大成となるLFPですが、長期に渡って1人で進めて行かなければなりません。今回の春学期成果報告会では、自身のプロジェクトに対するフィードバックを得るだけでなく、併走する仲間と励ましあい、完走を誓い合う機会となったのではないでしょうか。今後は、教員との個別相談会によってプロジェクトを進めていく形になりますが、LDCでの学びの日々はまだまだ続きます。