1月21日(土)の1、2時限(8時50分~12時15分)に行われた1年次人材開発・組織開発論2の最終授業では、人材開発・組織開発プロジェクトの最終成果報告会が行われました。
担当は中原淳先生と藤澤広美先生。人材開発・組織開発論2では、リアルクライアントを対象にチームで人材開発、組織開発コンサルティングを行うことで、クライアントワークの要諦を学びます。
受講生はチーム毎に、クライアント企業を探し、コンサルティング契約を結びます。キーマンと連携しながら、それぞれの組織の課題を特定、課題解決につながる人材開発、組織開発の働きかけを行い、その成果を評価するまでを9月からの約4カ月の間に行います。
最終成果報告会では、全5チームがプロジェクトについて発表。各チームが10~15分でプロジェクトの全容をプレゼンし、残りの10~15分で質疑応答を行います。発表チーム以外のメンバーは評価シートの基準に基づき、プロジェクトの評価を行います。評価項目には「この課題解決にいくら支払うか?」というところまで含まれています。
クライアントの介入対象は、いずれも数十名規模の企業内組織やベンチャー企業、非営利法人など。どのチームも、組織課題の特定や課題解決の鍵となる要因の絞り込みにサーベイを活用。サーベイの分析結果をクライアントに対して丁寧にフィードバックし、納得感を高めながら、「経営層とリーダー層との対話を促す」ワークショップや「理念共有」を目的とした全社イベントなど、工夫を凝らした施策を提案、実施していました。
どのチームも最終的にはクライアントからの高い評価を得ていたものの、そこまでの道のりは決して平坦なものでは無かったようです。プライマリクライアント(依頼者)が考える「課題」を掘り下げていくうち、「真の課題」はプライマリクライアント自身にもあることが見えてきてしまった、サーベイ結果をクライアントにフィードバックしたところ、想像以上に大きなショックを与えてしまった、など予想外のできごとの連続。発表ではこうした「一筋縄ではいかない組織の課題解決のリアル」が語られていました。
中原淳先生は「控えめに言って、みなさんとてもレベルが高い!素晴らしかったです。お伝えしたいことは3点です。まず、クライアントにどのような付加価値をもたらしたのか、については今一度考えてみてください。経営や現場にインパクトをもたらすのがみなさんの仕事です。『ワークショップをやってみました』というだけでなく、それが本当にインパクトをもたらしたのか。今回は期間も短かったので難しいところですが、来年は個人で1年間かけてプロジェクトを行います。ぜひ登る山の高さをできるだけ高く設定して臨んでください。
2つめは、みなさんもお感じになったように、クライアントワークを行う過程では、本当にいろいろなことが起こります。授業内でもお伝えしたように『分厚い皮膚』が必要です。思うようにいかないことも多々あるかと思いますが、絶対にやってはいけないのは、その場を、その支援組織を投げ出してしまうことです。どんなことがあっても、うろたえない勇気をもって臨んでください。大丈夫、みなさんならきっと乗り越えられます。
最後にもう1つ考えていただきたいことは、この課題解決にいくら払うかということです。自分の提供価値を知るというのも大切なことです。一番難しいのは自分の仕事に値段をつけることです。どうすればより高い付加価値を出せるか、という意識を持って仕事に臨み、自信をもって請求書を出せるようになってください。今後は個々でプロジェクトを行っていくことになります。みなさん、本当にお疲れ様でした」と講評を述べました。
授業の最後には、プロジェクトの振り返りが行われました。受講生からは
「プロジェクト後、プライマリクライアントから『おかげで組織にさざ波を起こすことができました』という言葉をいただいた。嬉しそうに言っていただいたものの、『さざ波か…』と少し複雑な思いだった。チームでかなりの時間、労力をかけたので、先方にどれだけのインパクトを残せたのかということは考えながらやっていかなくてはと思った」
「プライマリクライアントに明らかに大きな意識変革を起こすことができたことについてはとても達成感があった。来年は1人でやっていけるのか、というところは不安だが、頑張ってやっていきたい」
「多くの班で『相手の心を動かすような反応』があったとの言葉があり、それはコンサルタントが本気でクライアントのために向き合い続け、その本気度がクライアントの本気を引き出したのだろうと感動すら覚えた」
「クライアントが『これが課題だ』と言い切っても、安易にクライアントが欲しいものに飛びつかず、本当にクライアントのためになる『真因』を探す努力を諦めないことが大切だと感じた」
「人材開発・組織開発のプロジェクトとして、エントリーに始まり施策の実施・評価までを一連で経験をすることができた。このプロジェクトを完遂した経験をしっかりと振り返り、スキル化したい」といった言葉がありました。 1年次の大きな山を越え、2年次からは一人でクライアントの課題解決を行うリーダーシップ・ファイナル・プロジェクトが始まります。LDCの学びはまだまだ続きます。