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  • 2022.10.25
  • コースの運営
  • LDC事務局インタビュー(前編)学びの場づくりの舞台裏に迫ります!

人づくり組織づくりの専門家を養成する社会人大学院であるリーダーシップ開発コース(LDC)には、研究科全体の運営を担当している学部事務四課に加えて、コース専属の運営サポート部署としてLDC事務局があります。

LDC事務局のスタッフがしている、コースの運営サポートとはどのような仕事なのでしょうか。

今回は、普段のレポート記事ではLDCの教員や在学生・修了生へのインタビューを担当しているLDC広報担当者(井上佐保子)が、LDC事務局メンバーの加藤走さん、井上裕香子さん、鹿島千裕さんの3人に学びの場づくりの舞台裏についてお話を伺いました。

左から井上佐保子、加藤走、井上裕香子、鹿島千裕



LDC事務局の仕事
―まずは事務局の仕事について、教えてください。

加藤 事務局というと事務的な仕事、事務作業をしているように思われがちですが、実際の仕事は多岐に渡ります。一言でいうと「教員、在学生、修了生、大学関係者などのハブとなり、橋渡しをしてLDCを動かしていく仕事」ということになりそうです。LDCの中で起きていることを観察して、先読みしながら「コースが円滑に運営できるようにこんな工夫をしてみよう、トラブルを避けるためにこれを準備しておこう」など、よりスムーズにコース運営が進められるよう関係者とコミュニケーションを取り、みなさんが進む道を先回りして整備していくような感覚で仕事をしています。


井上 事務仕事は私が一番多く担当していますが、事務作業以上に人と人の間のことに多く取り組んでいるような気がします。


―具体的にはどんな業務があるのでしょうか?

加藤 事務局の業務として大きく4つに分けています。まず、コース運営を円滑に進めるためにコース運営に関連する業務をいつ誰が行うのか、事務局として誰にどのように関わるのかの計画を立て、進行管理を行う「マネジメント業務」です。次に、授業運営に関連するサポートを行う「授業サポート業務」や、kintone(キントーン)やGoogle Workspace、Zoom(ズーム)、Qualtrics(クアルトリクス)などのITツールを整備する「ITインフラ支援業務」。そのほかには、コースを学外の人に知ってもらうための「広報」、経理や購買や契約・総務などの「事務手続き業務」などがあります。


井上 業務内容が多岐に渡っているうえ、一年に一度しかないような仕事も数多くあり、そうした細かな仕事を一つ一つ滞りなく行い、コースが円滑に進むよう気を配る必要があります。オンライン授業がメインの大学院ということで、様々なデジタルツールも使いこなさなければならず、キントーンのアプリをつくったり、アンケート集計のためにクアトリクスの使い方を学んだりなど、ITスキルも求められます。


―ちなみに役割分担はどのようになっているのでしょうか?

加藤 授業サポート業務についてはざっくりと1年次は鹿島さん、2年次のは加藤とはなっていますが、授業によって様々です。その他、授業サポート以外の業務は私と井上さんでやっています。広報はこの記事を書いてくださっている井上佐保子さんの協力も欠かせません。あと、対面授業の際の授業サポートや学内の施設課との交渉など、学内的な業務は主に井上裕香子さんが行っています。


―勤務形態はどうなっているのでしょう?オンラインで学べる大学院なので、オンライン事務局なのですか?

加藤 昨年まではコロナ禍のために、ほぼ在宅でしたが、今年度からは私と井上さんは週に3日大学勤務、週に2日オンライン、鹿島さんは週に2日オンライン、週に1日大学勤務という勤務形態です。毎週木曜日は全員が大学勤務の日なので、その日に顔を合わせて打ち合わせをしています。大学勤務の日も在宅勤務の日もコラボレーションツールを活用して、事務局内で情報共有をはかりコミュニケ―ションを取って業務をしています。





授業サポートでは何を見ている?
―授業サポートというのはどのような業務なのですか?

鹿島 まず、授業開始日の1-2か月前頃から、授業担当の先生方と打ち合わせをします。先生によって事務局に求めるサポートも異なるので、どのようなサポートが必要かを確認し、前年度の授業アンケート結果をお伝えして一緒に改善点を考えたりします。事務局はコースを横断的な視点に立って見ているので、課題や授業内容が被らないよう、他の授業についての情報をお伝えすることもあります。また、授業の際は、毎回メモを残すようにしているので、「昨年はこのワークの際、少し時間が足りなかったので、今年はもう少し長くしてはどうでしょう」「課題の提出期限を少し長くしてはどうでしょう」などと、前年度のメモを元に授業の改善提案をすることもあります。実際の授業の際は、毎回、授業前に先生と授業の流れ、進め方などを確認します。授業後も「ブレイクアウトルームの人数、ちょうど良かったですね」などと、簡単に振り返りを行ったり、課題についての確認を行ったりして次回への改善につなげています。


―授業中はどのようなところを気にしていらっしゃいますか?

加藤 どのような授業サポートがいいのかは、試行錯誤しながらやっています。ZOOM画面も、オンにしておくか、オフにして存在感を消した方がいいのか、授業によっても変えつついろいろ試してみています。授業中に気にしているのは、受講生の反応です。表情や発言内容、チャットへの書き込みなどから受講生の反応が今一つ感じられなかった場合は、その後の休憩時間などに先生に「先ほどの内容は伝わっていない可能性もあるので、もう少し詳しく補足説明いただいてもよいかもしれません」などとさりげなくお伝えするようにしています。あとは、私自身が人と組織の領域について研究もしているので、授業によっては授業後に先生と授業の内容に関連する論文等についてお話しすることもありました。


鹿島 私は一受講生のような気持ちで講義に参加し、受講生目線で気づいたことを先生にお伝えするようにしています。話し合いの様子を見て、「話が盛り上がっているようなので、もう少しディスカッションタイムを長く取った方が良さそうです」とお伝えしたり、受講生に疲れた表情が見えたら「先生、少し長めに休憩入れませんか?」と提案したりすることも。私は受講生の状態や気持ちの方が気になってしまうタイプなので、課題提出時間を見ては「Aさんは課題提出がいつもより遅かったけど、仕事が忙しいのかな」など気になることもあります。


井上 同じ授業サポートといっても、お二人それぞれスタイルが異なっているところがいいですよね。鹿島さんが受講生へ送っているメールを見ると、鹿島さんならではの細やかな気遣いを感じますし、加藤さんが先生とやり取りしているところを見ると、専門知識を持った加藤さんならではの視点でお話しているのが分かり、それぞれの良さを生かした授業サポートになっている気がします。





事務局としてつらいこと
―つらいこと、大変なことなどはありますか?

井上 新型コロナの感染拡大によって、準備に準備を重ねた対面授業を、ギリギリのところでオンラインに切り替えなくてはいけなくなった時などは、毎回、苦渋の決断なのですが、つらいですね。オンライン授業ももちろんいいのですが、やはり対面授業の良さもあり、年に数回の対面授業は受講生のみなさんも楽しみにしている機会なので、それがコロナによって提供できない時は本当に悲しく、悔しいです。

対面授業準備の様子


加藤 業務範囲が広いことについて、大変さを感じる時はあります。授業サポートのためには、コースが扱っている専門分野の知識がある程度必要となりますし、コース運営上必要なITツールを整備するための知識やスキルも必要です。クライアントワークを行う授業では受講生の皆さんに覚書のサンプル等を共有させていただいていますが、書面作成にあたって法律的なことを大学の顧問弁護士と打ち合わせることもあります。大学院運営のために大学に関連する法律やの規定についても把握して、それに沿って運営しなければなりません。各授業の教員・受講生とのコミュニケーションスキルも必要ですし、広報・経理等のことも分かっている必要があります。このコースを運営していくために必要なことは、広く浅くでもなんでも分かっていなければならないところがあります。あくまで大学の一部署ではあるのですが、小さな会社を運営しているような感覚になることもあります。


鹿島 私はLDC事務局に入って2年目です。最初は、この分野についてのアカデミックな知見があるわけではない上、大学院での学びがどういうものかもよく分かっていなかったので、手探りでやってきました。授業サポートに入ると、受講生が成長していることは分かるのですが、どんなサポートによって成長を後押しできているのかが分からず、大変でした。1年経っていろいろなことに慣れてきて、ようやく自分のできることをイメージができるようになってきました。今年はより自分らしく授業サポートをやっていきたいなと思っています。





やりがいを感じるとき
―最後に、LDC事務局をやっていて良かった!とやりがいを感じるのはどんな時ですか?

井上 授業サポートには入っていないので、直接、受講生の顔を拝見する機会は少ないのですが、縁の下の力持ちとしてオンライン授業のサポート以外、LDCのためにできることは全てやっているということには誇りを感じています。ハイフレックスで行われる対面授業の準備などは、正直大変な時もあるのですが、みなさんがいきいきと学んでいる姿を見たり、「授業を受けられて良かった」といった声を聞いたりすると、本当に嬉しくて。このコースのための仕事であれば、不思議と、どんな仕事も全く苦ではないんです。先生も受講生も事務局も、それぞれが前を向いて共に学びに向けて走っている感じが心地よく、いつも楽しく仕事をさせていただいています。私はバックオフィスでの仕事が長いのですが、個人的には「人生で一番楽しいぞ、このバックオフィス!」と感じています。


加藤 先生方の授業がしっかりと受講生のみなさんに届いて、受講生からもそれが返ってくるような授業の様子を見ていると、心から自分たちの支援が学びにつながって良かった、という気持ちになります。また、事務局メンバーと、それぞれの持ち味、良さを生かして学びの場づくりができた、みんながその場に貢献できた、という時は「いい仕事ができた」と喜びを感じます。今、9月の説明会の準備を行っているのですが、協力してくださる在学生・修了生のみなさん、教員・職員みんなでひとつのものをつくりあげていくときには、「人づくり組織づくりの大学院」というミッションに近づけている、という感覚を感じ、やりがいを感じます。


鹿島 私は「人が変わる」というところにとても興味があり、受講生たちがLDCで学ぶことで、知識やスキルを身に着けるだけでない、人間的な成長を感じる時にやりがいを感じます。事務局として受講生に関わっていると、人や組織への接し方や考え方、その人自身のあり方がみるみる変わっていく様子を目にすることがあり、そうした時には「大人になってもこんな風に変われるんだ。成長できるんだ」と素直に感動します。LDC生は、人や組織に関わるお仕事をなさっている方ばかりです。そうした方が「変わる」ということは、周囲への影響力も強いはずですので、今後、LDCの修了生がそれぞれ関わる組織をどう変えていくのかということも、また楽しみです。