7月2日(土)、LDC2年次のリーダーシップ・ファイナル・プロジェクト春学期成果報告会が立教大学池袋キャンパスで行われました。梅雨明けから猛暑が続き、この日も早朝から暑い1日となりました。2年次としては今年度初となる対面授業。対面で集まったのは21名。オンライン参加は1名です。
教員は山口和範先生、中原淳先生、田中聡先生、館野泰一先生、村嶋美穂先生、廣川佳子先生がリアルでの参加、石川淳先生と藤澤広美先生がオンラインでの参加、というオンライン&オフラインミックスのハイフレックス形式での開催です。
5号館2階の4つの教室が今回の報告会の舞台。各教室では事務局により、オンライン、オフライン両方に対応できるよう、資料投影用のスクリーンや撮影機材のセッティングが行われました。オンライン参加の教員に対しては、発表者のプレゼン資料が映し出され、2台のカメラにより教室内の発表者と他受講生 の様子がZOOM配信されます。オンラインによる受講生の発表の場合は、ZOOM配信画面が教室のモニターに映し出され、教室内から先生方や他受講生からの質問の様子がオンラインで配信されるといった形でオンラインとオフラインがシームレスにつながります。
8時50分に授業がスタート。最初に事務局の加藤走さんから、本日の予定と注意事項について説明がありました。午前中はそれぞれがファイナル・プロジェクトの中間成果報告と先生方や受講生同士のレビューが行われます。お昼休憩をはさみ、14時15分から16時までは春学期の振り返りと秋学期に向けての取り組みを考える予定となっています。
中原先生からは、「舞台に上がる時こそが成長する時です。どうぞベストを尽くして発表なさってください。フィードバックをなさる時も全力でフィードバックをお願いします。リーダーシップ・ファイナル・プロジェクトを評価するにあたってのポイントは3つあります。何が課題か?それは経営にインパクトを与えるのか?打ち手としてどうなのか?です。これらの観点を意識しながら、今日は1日頑張っていきましょう」とのお話がありました。
9時からは各教室でファイナル・プロジェクト中間報告会が始まりました。発表は一人あたり10分、先生方や他の受講生からの質疑応答に12分という形です。次の発表者がタイムキーパー役となります。発表内容は、クライアント組織についての説明、課題抽出の経緯、調査や介入プロジェクトの概要、先行研究や効果測定の方法まで盛りだくさん。10分間という短い時間での発表のため、発表者は自然と早口に。先生方もプレゼン資料を食い入るように見ながら、フィードバックを行います。
ファイナル・プロジェクトでは、それぞれのクライアント組織の経営、現場にインパクトを与えるために、人材開発・組織開発の観点から課題解決を行い、それを記述したアカデミックペーパーを作成します。アクションとリサーチを両立させるプロジェクトを行う、というところがLDCのファイナル・プロジェクトの特徴であり、難易度の高いところでもあります。
クライアント組織は企業だけでなく、NPO、ベンチャー、学校、スポーツスクール、労働組合など、業種も業態も様々。それぞれが抱える人や組織の課題を抽出し、人材開発、組織開発、リーダーシップ開発…様々なアプローチによって課題解決のためのアクション計画が発表されます。教員側からは、「課題の抽出方法はどのようになさったのですか?」「働きかけに対する最終的な評価方法についてはどのよう考えていますか?」「具体的には対象者にどのような行動変容が起きるのがゴールだと考えていますか?」などと次々質問が投げかけられます。
全員の発表が行われた後は、中原先生から次のような講評がありました。「みなさまお疲れ様でした。全体的にとてもレベルが高いと感じました。そのうえで、気になったのは、3点です。ひとつめは、登る山の高さは適切か?というところ。解くべき課題がファイナル・プロジェクトとして、大きすぎたり、小さすぎたりしないか、もう一度確認していただきたいところです。二つめは、打ち手は適切か?ということです。その課題に対する打ち手として正しいのか、効果が期待できるのか、といったことは見直してみていただきたいです。3つめは、対象者は適切か?ということです。課題を解決するための働きかける対象は合っているのか、たとえば、新入社員だけでなく新入社員を支援する先輩社員も働きかけの対象にするべきでないか、といったことですね。これらについて再度確認したうえで、やるべきこと、やらないことのジャッジをしっかりなさるといいのではないかと思います」
最後に1年次の成績優秀者を表彰するディーンズリストの発表が行われ、2名が表彰を受けました。
お昼休み後、14時からは「春学期の振り返りと秋学期に向けて」とのテーマで、中原先生、藤澤先生による振り返りの授業が行われました。授業の目的は、リーダーシップ・ファイナル・プロジェクトについての理解を深め、今後の活動計画を行うこと。はじめに、中原先生からリーダーシップ・ファイナル・プロジェクトの目的やプロジェクト報告書の定義、プロジェクトを評価する観点などについて改めて説明がありました。
「既に書き始めている方は?」という問いかけに、手が上がった人が一人。規定の文字数3万字以上となっていますが、2万2千字まで書き進んでいるとのことでした。中原先生は「まだ書き始めていない方がほとんどかと思います。最初は完璧をめざさず、まず書き始めてみるというのは、プロジェクトを前に進めていくうえで重要なことではないかと思います」と話します。その後、受講生からファイナル・プロジェクトに関する質疑応答が行われ、理解を深めていきました。
続いて、今回の春学期成果報告会について、各々に振り返る時間がとられ、15時からは1人2分ずつ、自身のプロジェクトにおける課題の整理と今後の自身のアクションプランの発表を行いました。「軸となる理論を絞り込めず、あれもこれもとなっていました。中原先生からOne Paper One Conclusionという話を聞き、もう一度、しっかり絞り込んでいきたいと思っています」「先行研究や理論など、苦手なものを苦手なままにしないよう、しっかり苦手を克服し、後悔ないように走り切りたいと思っています」「これまでも、今日発表していても、ずっともやもやしていました。自分の得意分野の実践を行うということもあり、結果が予測できてしまうところもあり、自分の登る山が低いのではないかと気づきました。たとえ思うような結果につながらなくても、もう少しチャレンジしていきたい、と考えています」など、それぞれが成果報告会について気づいたこと、夏休み、そして秋学期に取り組みたいことなど、これからの決意を述べていました。
最後に中原先生が「完走するコツは、歩みを止めないことです。自転車と同じで漕ぎ出しは大変ですが、ペダルを漕ぎ出すと楽になってくるものです。毎日少しずつでいいですから漕ぎ続けてください」とエールを送りました。
リーダーシップ・ファイナル・プロジェクトは個々に進めていかなければならないため、孤独に陥りがちです。今回の報告会は、自身のプロジェクトを見つめ直し、併走する仲間の存在を確かめるいい機会となったのではないでしょうか。LDCでの学びの日々はまだまだ続きます。