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  • 2022.05.13
  • 修了生の声
  • 修了生インタビュー「LDCは人の学び、人の成長を応援してくれる大学院。学びを諦めないで」

2022年3月に修了された堀江 敦子さんにLDCで学んだ2年間の大学院生活を振り返っていただきました。


LDC一期修了生 堀江 敦子さん(スリール株式会社 代表取締役)



―ご修了おめでとうございます。まずはLDCに入学したきっかけから教えてください。

堀江さん(以下敬称略):25歳の時に人材育成を軸とした会社を立ち上げ、今年で12年目になります。事業内容は、企業向けの女性活躍・ダイバーシティ推進・研修・コンサルティング、行政・大学向けのキャリア教育などを行っています。これまで、現場での実践の中で独自の人材育成プログラムを構築してきました。効果も広がりも得られていたので、自信を持ってはいたのですが、企業経営者の方々とお話させていただく機会も増え、より高い視座を獲得して、人的資本や人材育成について説得力を持って語れるようにならないと、そうした方々に太刀打ちできないし、世の中を変えていくことはできないのではないか、と考えるようになりました。実践だけでなく経営視点や理論をしっかりと身につけたい…と考えていたところ、経営+人事について学べるというLDCの開講を知り、夫からの勧めもあり、入学を決めました。



―堀江さんは在学中に出産をなさっていますが、妊娠が分かったのはいつ頃だったのですか?

堀江:ちょうど合格と同じ頃です。とはいえ、妊活中でもあったので、妊娠は想定内でした。むしろ妊娠中ならば通えるかも、とプラスに捉えていました。女性活躍支援事業を行っているので、仕事柄、長期的な育児スケジュールなども見えていましたし、産休・育休中に大学院に通っていた知人が何人もいましたので、不安は無かったです。もちろん、妊娠中に体調を崩す可能性もありましたが、その時はその時で、交渉していけば、なんとかなるだろうと考えていました。人と組織について学ぶ社会人大学院だからこそ、プライベートでなにかあっても、きっと「学びを止めない」ためにどうすればいいかを考えてくださるに違いない、と信頼を置いていた、というところもあります。



―確かに、無理は禁物ですが、妊娠中は学びのチャンス!といえば、そうかもしれません。ということは、オンライン開講となったことは、むしろ良かったわけですね。

堀江:そうですね。オンライン開講はありがたかったです。少しお腹が張る時などは、許可を得て画面オフにさせていただいて、座り方を工夫したりしながら、受講するようなこともありました。自分の状態については、先生方や在学生の方々にもお伝えし、グループワークの際なども、事前に「この時期はもしかしたら出産と重なるかもしれないので、作業を前倒してさせていただけないか」などと相談しながらやっていました。事務局のみなさんにも助けていただき、なんとか無事に走り切ることができました。



―2年間のうち、特に印象に残っている授業はなんですか?

堀江:佐々木聡先生の「戦略的人的資源管理」と櫻井功先生の「戦略的人事実務論」です。自分自身が学びたかった経営戦略や人事戦略の考え方、理論の歴史的背景、といった内容をしっかりと学ぶことができました。あとは、本間浩輔先生の「ケースで学ぶリーダーシップ」や、高橋南海子先生の「キャリアとリーダーシップ論」で、みんなと深い対話をしたことも印象に残っていますね。2年次のリーダーシップ・ファイナル・プロジェクトは大変でした…。1期生ということもあり、先生方の中でも手探り状態、といったところがあったのかと思いますが、最後まで試行錯誤の繰り返しでした。なんとか終えられて良かったです。



―学んだ内容は仕事に活かされていると感じますか?

堀江:はい。これまで女性活躍やダイバーシティ、キャリア教育といったテーマで事業をやってきたのですが、2020年頃、私自身はこれらのテーマが今後必要とされる流れを感じていました。もちろん、2015年に女性活躍推進法が成立し、大学でのキャリア教育も推進されてきていましたが、経済界も大学も本気で取り組んでいるというにはほど遠い状態だったように思います。一方で、2019年頃から海外ではESG投資ということも言われ始め、今後日本でも、本格的に取り組むような流れが来るのではないか、ということを肌感覚で感じていました。そんな中で、コロナ禍が始まり、2021年あたりから人材育成やキャリア自律の重要性がクローズアップされるようになり、ESG投資やコーポレートガバナンスコードの改訂、人的資本の情報開示などの流れが一気に出てきました。
LDCで学んだことで、私自身、こうした流れにしっかり備えられたように思います。もちろん、これまでの実践や開発してきたコンテンツについては自信を持っていましたが、経営戦略上なぜ必要なのか、といったことをこれまで以上に理論的背景や歴史的背景も含めてより納得感高く伝えられるようになり、それが会社で事業を続けていく上での基盤にもなっています。LDCで学び、専門性を身につけることができたことで、発信にも自信が持てるようになり、Human Capital Online(日経ヒューマン・キャピタル・オンライン)というメディアで連載を持たせていただくことにもつながりました。



―堀江さんは1年次の春休みにご出産され、2年次からは子育てとお仕事と大学院を同時並行でなさっていました。さぞかし大変だったかと想像しますが、両立のコツはなんですか?

堀江:そうですね。とにかく一人で抱え込みすぎないということが大切だと思います。全てに完璧をめざさず、自分が今、注力しなければならないのはどこなのか、ということを見極め、それ以外のところはあきらめることも大事です。LDCの授業でも完璧を目指してしまうと、家庭も自分も壊れてしまうので、「7割でいい」と自分に言い聞かせてやっていました。「本当はもっとやりたい…」と悔しく思うこともありましたが、なにより出産という大きなライフイベントがあっても学びを止めなかったこと自体に幸せだと感じていました。また、社会人の学びは、高成績を目指すことよりも、自分の仕事、実践にいかにして活かすかが重要です。私自身は入学の目的が明確だったので、「学び方さえ分かればその後も学び続けることができる。自分自身で目的を握っていればいい。本質、エッセンスを学べればいい」と考えて臨んでいました。結果的に成績も1つ以外はAとSだったので、悪くは無かったのですが。



―お仕事に関してはいかがでしたか?

堀江:仕事に関しては、出産によって仕事から離れることになる、ということを想定して、数年前から自分が注力すべきところに特化して、それ以外は任せられるよう権限移譲し、誰もが意思決定できる組織づくりを心掛けてきました。子育てに関しても同様で、夫と私だけでなく、両親や兄弟、親類、シッターさんなど、子育てチームメンバーをたくさんつくり、無理せず頼ることをしていました。大学院でもチームメンバーに貢献できるところ、助けてほしいところをしっかり伝えるようにしていました。もちろんご迷惑をおかけしたこともあったのですが、援助要請行動(ヘルプシーキング)を行っていくことで「お互いさまだよ」と助けていただけたように思います。ちなみに、私の援助要請行動(ヘルプシーキング)はリーダーシップ・ファイナル・プロジェクトのテーマでもあります。



―修了後、大学院での学びをどんな風に活かしていきたいですか?

堀江:修了しても学び続けたいと思っています。先日は、ISO30414のコンサルタント資格を取得しました。今後も人を大切にする人事の支援をしていきたいと考えています。数字だけで経営を見るのではなく、現場に行って社員に会って声を聞いて、一緒に汗をかきながら組織や事業をつくっていく経営を行う人を増やしていきたいです。その為に、経営者や人事に伴走する人的資本の専門家になりたいです。また、キャリア教育の事業については、日本では自分らしいキャリアを見つけていけるような自律的キャリア教育がまだまだできていないし、その分野への投資も不足していると感じています。内閣府の委員もしていたので、そうした提言などを行いながら、国レベルでも人を大切にする、という観点で意思決定できる人を増やしていきたいです。
また、現場での実践を通して自律的キャリア教育を充実させていきたいです。LDCで学んだことによって、軸となる理論と共にその歴史的背景、実践を意味づける力、といったものを身に着けることができたと感じていますので、LDCで得た関わりを活かしながら今後も学び続けていきたいと思います。



―入学を検討されている方になにかメッセージをいただけますか?

堀江:私は30代後半なのですが、この年代の方というのは、これまでの経験を理論化、持論化しながら、さらに専門性を高めていく、といった学び直しが必要なタイミングだと思います。しかし、残念ながら、子育てが忙しかったり、お仕事が忙しかったりするタイミングでもあります。育て時、働き時、学び時が重なる年代ではありますが、今はオンラインでいつでもどこでも学べるようになってきていますので、やりようによってはなんとかなるのではないか、とも思います。もしも「LDCで学びたい」と思われたのであれば、ぜひあきらめずに挑戦してみてください。きっとなんとかなるし、LDCは人の学び、人の成長を応援してくれる大学院ですので、教員の方々も事務局の方々もきっと受け入れてくださると思います。