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  • 2021.10.14
  • 授業
  • プロジェクト成果報告書に向けてアカデミック・ライティングを学ぶ 研究方法論2

9月18日(土)14時~17時、2年生、研究方法論2の授業がオンラインで行われました。研究方法論2は、LDCでの学修の集大成となるリーダーシップ・ファイナル・プロジェクトに関する個別面談を中心に進めていく授業ですが、秋学期初回となる今回は、個別面談は行わず、報告書を作成するために必要なライティングスキルについて学びました。担当は田中聡先生、廣川佳子先生。タイトルは「『アカデミック・ライティングを学ぶ』これから怒涛!?の執筆⽣活を送る皆さんへ」。


リーダーシップ・ファイナル・プロジェクトでは、一人ひとりがクライアント組織の組織課題を解決するための人材開発・組織開発・リーダーシップ開発を実施し、それを3万字以上の報告書にまとめて2022年1月初めに提出しなければなりません。「そろそろプロジェクト成果報告書を書き出さなければ」と焦り始めた!?2年生にぴったりな内容です。


LDCのプロジェクト成果報告書には、
①論理性 言葉を用いて丁寧な記述が行われ、誰の目にも了解可能
②信頼性 結果が再現されうる安定的な知見が得られる
③有用性 経営・現場にインパクトを与えられる
という3つの要素が求められます。特に①②については学術論文的な記述方法が求められるため、学術的文章、アカデミック・ライティングの知識が必要となります。


最初に、田中先生が「みなさん、プロジェクト成果報告書の進捗はいかがですか?」と問いかけると、ほとんどの方がまだ書き出していない、という答え。「構成、全体像を考えて書けるところから書きはじめた」「何か書き出さないと不安なので、クライアント組織の情報などを書いてみた」という人もいましたが、大幅に書き進めている、という人はいないようです。


「みなさんまだプロジェクトの進行中ということで、書き出されていない方が多いようですが、プロジェクトの目途が立ってきたところで着手しなければならないのが、成果報告書です。そこで、この授業では、プロジェクト成果報告書を書くための、アカデミック・ライティングについて学んでいきたいと思います」と講義が始まりました。


田中先生は、「アカデミック・ライティングといっても難しく考えすぎる必要はありません。基本的にはプロジェクト成果報告書のフォーマットに則って、論理的に伝わる文章を書ければいいのです」と話します。


「論理的に伝わる文章を書く」ために必要なのは、「正しい日本語で論理的に書くこと」。そのためにはまず、文の論理構成がすっきりと分かりやすいことが重要です。そこで、主語が無い文、述語がはっきりしない文、ねじれ文、長すぎる文など、分かりにくい文の具体例を示しながら、論理的な文を書くために注意すべきポイントを指摘していきます。


また、「誰が読んでも同じ結論に達することができる⽂章」を書くためには「客観性」と「論理性」が必要だとして、客観的に記述するための表現方法と共に、論理的に構成された文章を書くための技法として「パラグラフ・ライティング」を紹介。パラグラフ・ライティングとは、1つのトピックについて述べる⽂章のまとまりを1パラグラフ(段落)とし、パラグラフをつないでいくことで論理構造をつくっていくライティング技法です。各パラグラフの先頭文、トピック・センテンスには、そのパラグラフで最も伝えたいトピックを要約した1⽂を配するきまりなので、論理展開が組み立てやすいというメリットがあります。授業では実際にパラグラフ・ライティングを体験するワークも行われました。


「アカデミック・ライティング」では、文章の書き方だけでなく、図表の入れ方や書式、レイアウト、調査⽅法や量的データ分析結果の記述方法についても様々な決まり事があります。「⼩数点以下2桁で記述する」「数字は2桁以上は半⾓、1桁のみ全⾓で統⼀する」など、細かいことですが、これらがしっかりと守られていることで、読み手にとって読みやすいものになるといいます。


最後にこれからプロジェクト成果報告書を書き始める2年生へ、田中先生から下記のようなアドバイスが送られました。
●考えながら書く、書きながら考える!
●調べながら書く、書きながら調べる!
●できる限り早い段階(締切1ヶ⽉前理想)で最後まで書き切る!※提出締切⽇を執筆完了⽇に設定しない
●必ず提出前に⾃分以外の誰かに⽂章を⾒てもらう!※LDC同期同⼠で確認し合うのも良い
●コツコツ書く!書けるときに書きまくる!
●読者(研究の宛先)を想定し、読者に伝わる⽂章を書く!


授業後、田中先生、廣川先生、現在、博士後期課程で学ぶ大学院生でもある事務局の加藤さんに、これからプロジェクト成果報告書を書き始める二年生たちへの激励の言葉をいただきました。


田中先生「みなさんには『なんとか書き終えた』という自己満足だけで終わらせないようにしていただきたいです。現場での実践を通して得られた意味ある知見を誰に届けるのか。そのことを意識し、どうすればその人に届く文章になるのか、頭を悩ませながらプロジェクト成果報告書を書きあげていただけたら、と思います」


廣川先生「プロジェクトの成果を上げることも大切ですが、その知見を伝えることも重要です。ぜひ今日のアカデミック・ライティングの授業で学んだことを実践してほしいです。コツは少しずつでも毎日書くことです。書く習慣がついてくると、リズムができてきて、飛躍的に書く力がアップします。ぜひ、いいサイクルにはまれるよう、書き続けてください」


加藤さん「昨年、修士論文を書いたのですが、書いている時が一番勉強になりました。自分が理解できていなかったこと、知らなかったことが書く過程でよく見えてきました。ぜひ、書くことを通してみなさんの学びを深めていただきたいと思っています」


今後は、それぞれのリーダーシップ・ファイナル・プロジェクトに関する個別面談を中心に進んでいきます。LDCの学びの集大成であるリーダーシップ・ファイナル・プロジェクトはこれから正念場を迎えます。2年生のみなさん、頑張ってください!