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  • 2021.09.02
  • 在学生の声
  • 在学生インタビュー「専門的な領域に関心のある人たちと切磋琢磨できる、求めていた通りの学びの場だと感じています」

2021年8月8日、一年次の佐々木孝仁さんに入学を志したきっかけや、大学院生活についてお話をうかがいました。

 
LDC一年次 佐々木孝仁さん(三井物産人材開発株式会社・人材開発部長 )

 
―どのようなお仕事をなさっているのでしょうか?

佐々木孝仁さん(以下敬称略):三井物産グループの組織開発、人材開発を行う会社でマネジメントを務めています。現在は管理業務の比重が大きくなっていますが、研修のプログラム開発や研修講師、コンサルティング業務なども行っています。今の会社は3社目ですが、新卒で組織・人事コンサルティングを行うリンクアンドモチベーションに入社して以来、一貫して人材開発・組織開発に携わってきました。

 
―長年、人材開発・組織開発に携わってきた佐々木さんが、入学を決めたのはなぜですか?

佐々木:これまでのキャリアにおいて、数多くの人材開発・組織開発に関わるプログラム開発やコンサルティングに携わってきましたが、理論やデータよりは、実践値、経験値に重きを置いて取り組んできました。そんな中、北海道大学の松尾睦先生や立教大学の中原淳先生とお仕事をする機会に恵まれたのですが、この業界における第一線のアカデミアの方々のお話をお伺いする中で、これまでやってきたことが果たして普遍性のあるものだったのか、理論に裏打ちされているものだったのか、と疑問を持つようになりました。こうした方々と話す中で、「自分はプロと胸を張って言えるのか」という気持ちが沸き起こり、今一度、自分の専門性を見つめ直したい、鍛え直したいと思ったのが、アカデミアの門を叩いたきっかけです。

 
―多くの社会人大学院がある中で、LDCを選んだのはなぜですか?

佐々木:やはり人材開発・組織開発・リーダーシップ開発という専門的な領域に関心のある人たちと切磋琢磨したい、と考えたからです。実際、同級生たちからは日々、刺激を受けていて、つくづく「いい仲間だな」と感じています。まず、全く異なる分野、全く異なる領域の人がいる、というのがありがたいです。人材開発、組織開発の仕事をしている人はもちろん、多様な業種、職種の方、経営者やマネジャーなど、立場の異なる方から見た人材開発、組織開発について知ることができるのは刺激的です。あとはもう、みなさん圧倒的に学ぶ意欲が高くて・・・。これほど学ぶ意欲の高い集団は見たことがありません。どんなに意欲ある人でも、多少はやらされ感があったりするものですが、もうガチで学ぶムードが強い。楽しいのですが、油断すると置いていかれそうな緊張感すらあり、まさに求めていた通りの学びの場だと感じています。

 
―お仕事もお忙しいかと思いますが、大学院生活との両立はいかがですか?

佐々木:かなり大変です。入学前、中原先生に「大変ですよ、大丈夫ですか」と言われて、「大丈夫です」と答えてしまったので、もう逃げられないのですが(笑)、本当に大変です。今のところ、平日の夜はグループワークと課題を勉強する時間に充て、休日の朝は6時~10時までコメダ珈琲に行って勉強する、という形でなんとかやっています。生活の中でうまく時間を取って集中して勉強するという習慣に、ようやく体が慣れてきました。

 
―ご家族との時間は取れていますか?

佐々木:平日の夜はほぼ課題や会議で、家族との時間は十分に取れていません。その分、日曜日は早朝に勉強し、その後は子どものサッカーに付き合うなど、家族とのコミュニケーションに充てるようにしています。ありがたかったのはこのオンライン生活です。会社も基本的にリモートで授業もオンラインなので、通勤時間を学習や家事に振り分けることで、なんとか「ワーク・スタディ・ライフバランス」を保っています。

 
―学んだことは、仕事に生かせていますか?

佐々木:ちょうど今、社内でリーダーシップトレーニングをつくろう、という話が立ち上がっていたので、春学期に学んだリーダーシップ理論やリーダーシップ開発についての知識をぎゅっと詰め込み、研修コンテンツ開発のための社内勉強会を実施しました。それが結構好評で、勉強会のコンテンツがそのまま研修に生かせそうです。単に知識を伝えるだけでなく、先生方から教えていただいた理論やその背景などについても話すことができたので、少しは参考になったのかな、と思っています。会社では「サイエンスと思いやりで人の成長を支援する」というスローガンを掲げており、その推進に向けてまずは自分が率先して理論を学び、その学びを会社に還元したい、仲間にお裾分けをしたい、と考えていたので、早速実現できたのは嬉しかったです。

 
―LDCでこれからどんなことをやっていきたいですか。

佐々木:2つあります。1つは実務家として、理論をさらに追究し、専門的知見に裏打ちされた実践的なソリューションが提供できるようになりたいと思っています。もう1つは、研究です。私にとって研究とは、サイエンスを通じて社会の役に立つ知見を差し出す営みです。今、会社として様々な大学と研究を行っているのですが、力不足で全く貢献できていないので、少しでも役に立ちたい、という想いで授業に臨んでいます。LDCのファイナルプロジェクトでは、三井物産グループに関連の深い出向経営者をテーマに、その成長メカニズムを研究・解明できたらと考えています。総合商社では、社員を数年間グループ会社に送り込む、といった出向人事が多いのですが、出向経営者には、オーナー経営者やプロパーの経営者とも異なる、独特の難しさがあります。この難しさを乗り越え、よりよい事業経営に繋がるメカニズムとは何か。その一端を明らかにし、効果的な人材開発・リーダーシップ開発を研究することで、三井物産グループ全体の事業経営に貢献できるのではないかと思っています。なかなか高いハードルですが、学びを通じて役立つ知見を提示できるよう、チャレンジしたいと思います。