2021年6月、二年次の杉江美樹さんにLDCの一年を振り返っての感想や一年次と二年次の違いなど大学院生活についてお話をうかがいました。
LDC二年次 杉江美樹さん(株式会社Work F-style 代表取締役 )
―入学したきっかけを教えてください。
杉江さん(以下敬称略): もともと2016年度に慶應MCCで中原淳先生が担当されているラーニング・イノベーション論を受講しており、先生が大学院構想の話をなさっていらしたので、「いつか大学院で学べたらいいな」と思っていました。LDCの開講を知ったのは2018年のこと。経営している会社の業績は良かったのですが、私自身は大きな危機感を抱いていました。「今後、これまでの経験だけであと10年やっていけるのか?」という不安があったのです。1-2年先までの仕事は見えていたからこそ、「今やらないとダメだ」と思い、出願しました。ちなみに、池袋キャンパスの近くに住んでいるので、「自転車で通学できそう!」というのも、魅力でした。入学後、オンラインになってしまったのですが(笑)
―1年間、LDCで学んでみていかがでしたか?
杉江: 全部つながっていた!という感覚です。研究者から実務家まで様々な先生の授業があり、最初のうちは、「なぜこれを学ばなければいけないんだろう?」などと思いながら受けていたものもあったのですが、徐々に全てがつながって聞こえてきました。すべてがアートでありサイエンス。実践も大事だけど知識や歴史も大事だ、といったことを改めて感じた1年でした。
―1年次はグループワークの機会が非常に多かったですが、その点についてはいかがでしたか?
杉江:グループワークはプレッシャーでしたね…。私自身が長年、研修講師やファシリテーターとして、クライアント企業のチームビルディングなどを教える立場でしたので、「どんなメンバーでもチームとして上手くやっていかなければプロとして失格!失敗できない!」などと力が入っていたのです。ところが、いざグループワークをやってみると、自分では思いつかないような発想がどんどん出てきて、想像以上のことができました。一人でやろうとせず、全員でよいものをつくろう、とやってみると、できることはもっと広がるんだ、ということを改めて実感しましたし、今後はもっといろんな人を巻き込んでおもしろいことをやっていけそうだ、と自信になりました。
―2年次になってからは、個人での学びが中心となりましたが、いかがですか?
杉江:グループワークが無い分、学びのペースづくりが難しいです。仕事も忙しいので、ついついファイナル・プロジェクトが後回しになってしまい、ちょっと焦っていますね。2年次は、セルフマネジメントが求められる気がします。
―ファイナル・プロジェクトはどのようなことを行う予定ですか?
杉江:1on1ミーティングを導入したものの、その効果に懐疑的なマネジャーが一定数いてなかなか効果が上がらないといった課題をもつ企業で、マネジャー向けに1on1に対する意識を高める取り組みを実施し、マネジメント持論がどのように変容するか、質的研究を行う予定です。
―これまでに2回ほど、担当教員によるプロジェクト個別面談があったかと思いますが、どんな感じでしたか?
杉江:担当教員の中原先生と藤澤先生にプロジェクトの概要や進捗について説明し、それに対してご意見やアドバイスをいただく、といった感じです。怖くはないですが、緊張します。こちらの質問についてもお答えいただけるのですが、時間も短いので、多くは聞けません。「押さえておかなければいけないのはこことここ。テーマと枠組みはしっかり作れているのでそこは自信を持って。その他の点は、自力で進められると思うので、頑張って」とポイントを絞ってアドバイスをもらっています。
―2年次の在学生同士での助け合いなどはあるのですか?
杉江:月に2回ほどは、同級生で集まって、情報共有をしたり、勉強会をやったりしています。その他にも、テーマが近い人たちと相談しあったり、論文を共有したりなどしています。先日は対話の勉強会を行いました。「どうしよう、進んでない~」「大丈夫、私も同じよ~」などと、お互いに慰めあっているところもありますが(笑)、心強い戦友です。
―今後LDCで学びたい、と考えている方にメッセージをいただけますか?
杉江:人と組織の問題は、いつもどこにでもあるものです。アメリカの組織開発の研究者の言葉で、「人は組織に生まれてくる」というものがあります。人は家族という組織に生まれてくるし、人生の最後を過ごすかもしれない病院や老人ホームなどもまた組織。自分が関わる組織を良くすることは、結局、人生を良くすることなんですよね。そして、組織を良くしようという人が増えれば、より多くの人の人生が良くなるはず。自分が関わっている組織を良くしたいという思いがあり、同じ思いを持った人たちと一緒に学びたいという人は、ぜひLDCにいらしてほしいです。きっとLDCでの学びを楽しめると思います。