1月16日(土)の1、2時限(8時50分~12時25分)に行われた人材開発・組織開発論2の最終授業では、人材開発・組織開発プロジェクトの最終発表会が行われました。
中原淳先生と藤澤広美先生が担当する人材開発・組織開発論2は、リアルクライアントを対象に人材開発、組織開発を行うことで、クライアントワークの要諦を学ぶ授業です。受講生たちは、グループ毎に自分たちでクライアント企業を探します。そして、コンサルティングの契約を結び、キーマンと連携しながら、それぞれの組織の課題を見つけ出し、課題解決を図るための人材開発、組織開発の働きかけを行い、その成果を評価するまでのプロセスを全て自分たちの手で行いました。
最終発表会では、全5グループがプロジェクトについて発表。どのような組織のどのような課題を、どのような理論に基づいて働きかけを行い、どのような効果が得られたのか、また取り組みへの評価はどうだったのか、今後の展望はどうなのか、といった内容を15分でプレゼンし、その後は、それぞれの内容についての質疑応答とフィードバックを行いました。
このプロジェクトの難しさは、初めてのクライアントワークということももちろんですが、それを全てオンラインで完結させなければならないということころにあります。どのグループも、クライアント探しから、キーパーソンへのヒアリング、サーベイの実施、フィードバックミーティングやワークショップの開催など、ほぼ全ての活動をオンラインで行いました。全グループがこの短期間のうちにオンラインコミュニケーションだけでクライアントワークをやり遂げることができたのは、入学以降、全ての学びをオンラインで深めてきたLDC生ならではのことでしょう。
クライアントとなる組織は、若手の人材育成やチームの活性化、管理職のマネジメント力強化など、どの組織も一筋縄ではいかない課題を抱えています。印象的だったのは、どの事例も、ヒアリングや調査を進めるうち、当初「課題」だと思われていたものとは違ったものが「課題」として浮かび上がってきたということです。新人育成の問題だと思われたものも、掘り下げていくと、理念や目標があいまいで共有されていないという課題が見えてきたり、マネジャーの問題だと思われていたものが、経営者側にも課題があることが分かったり。「キーパーソンにヒアリングする度に、課題がどんどん変わっていった」と話す発表者もいました。ターゲットとなる「課題」が変わる度に、「誰にどんな働きかけを行うのか=打ち手」を修正しなければならず、3か月ちょっとという短いプロジェクト期間でどこまでできるのか、目標の置きどころに苦労したグループも多かったようです。
中原淳先生は「みなさん、よく頑張られたなと、拍手をおくりたいと思います。中間発表の時には、どうなるかとハラハラしていましたが、ほんとうによく完走なさったなと思います。みなさん、一度、ご自身の成長を実感なさってみるといいと思います。昨年、入学直後に取り組んだリーダーシップ・ウェルカム・プロジェクトのことを思い出してみてください。プレゼンのクオリティも各段に上がりましたし、理論への理解、データの扱い方、なにより人や組織を見る際の解像度が、比較にならないほど高まりました。来年もぜひ頑張ってください。1年間、本当にお疲れ様でした」という言葉で授業の最後を締めくくりました。
授業後、藤澤先生、中原先生にお話を伺いました。
藤澤先生は、「オンラインのみの活動ということもあって、クライアントとの信頼関係の構築に時間がかかったり、なかなか解くべき「課題」が絞りきれなかったりと、どのグループもほんとうに大変だったと思います。我々の方でも中間発表後に何度か追加で相談の機会を設けるなど、様々な形でフィードバックを行いました。「課題」の焦点が定まってきた後は、一気にクライアントワークが進んだ印象です。」とプロジェクト全体を振り返って話しました。
中原先生は、「今回のようなリアルにクライアントワークを行うようなプロジェクトを全グループが完走できたのは、受講生たちが4月から今まで、様々な先生方から理論、実践、データ分析などの講義をたっぷりと受け、学び合いながら成長してきたからこそたどり着けた到達点のように思います。こうした学びは、綿密なカリキュラムが組まれた大学院でしかできないことです。1年を終えて、LDCのプログラムに大きな手ごたえと自信を感じています」と話しました。
LDCの1年目のカリキュラムは3月に行われる特別演習を残して1月23日(土)で終了しました。4月からは新入生を迎え、いよいよ2学年で授業が進められていくことになります。LDCの学びはまだまだ続きます。