2020年10月24日、一期生の塩川太嘉朗さんに入学を志したきっかけや学び始めてみての感想などをうかがいました。
LDC一期生 塩川太嘉朗さん(メーカー人事)
―入学を決めたきっかけはなんですか?
塩川太嘉朗さん(以下敬称略):きっかけは、昨年、シンガポールで海外のグループ企業のHR担当者とお会いし、専門性を身につけることの重要性を感じたことでした。海外のHRの方々は、知識も経験も豊富でプロフェッショナル。非常に専門性が高いと感じました。一方、私はこれまで、様々な組織で、人材開発や採用、人事制度設計、HRBPなど、広く人事関係の仕事経験を積んできましたが、自信をもってこれが専門と言い切れるものがありません。「どこかに専門性が無いと、この先グローバルではやっていけないのではないか。できればもっと人材開発やリーダーシップ開発についての学びを深めたい…」などと漠然と考えていた矢先、LDCの開講を知りました。ちょうど東京勤務になったタイミングでもあり、「これは運命かもしれない(笑)」と、思い切って申し込みました。
―塩川さんは大学院2回目だということですが?
塩川:はい。実は大学時代からこの領域に興味があり、ゼミでも人事管理を勉強していました。10年ほど前には慶應SFCの花田光世先生の大学院で学び、修士を取っています。その際は主に組織行動論を学んでいたのですが、実務を通じて興味がより湧くのは人材育成だ、と感じるようになり、今回LDC入学を決めました。
―LDCでの学びはいかがですか?
塩川:開講からいきなりオンラインになってしまい、ツールを使いこなせるだろうか、ZOOMでディスカッションできるのだろうかなど、最初は少し不安でした。ですが、始まってみれば、ツールは使っていくうちに慣れましたし、ZOOMでのディスカッションにも全く違和感がなくて。むしろ一人ひとり意見が言いやすいように感じます。また、仕事との両立という意味でオンラインはとてもありがたいですね。
―LDC一期生の印象はいかがですか?
塩川:みなさん強い思いを持って学んでいる方々ばかりで、とてもポジティブですし、喧々諤々、妥協せず議論ができるのは、ありがたいですね。実は授業とは別に、一期生の有志を募って文献を読むオンライン読書会みたいなものをやっています。一緒に読んだら議論もできるし、視野が広がるのではないかと思ってお声がけしたら、なんと10人も集まりました。
―1章ずつ担当を決め、発表していくようなスタイルですか?
塩川:そうなのですが、せっかくならLDCの授業でやった「反転学習」を取り入れてみようと、それぞれ章ごとに「ドキュメントと共に可能なら10分ほどの動画にまとめてください」とお願いしたら、なんとほぼ全員が動画までつくってきてくださいました。そこで、事前に動画を観てきて当日はディスカッションをするという「反転学習」スタイルでやりました。みなさんものすごくクオリティが高くて…。読書会にさらっと動画まで作ってきてしまう人たちって、本当にすごいですよね。
―どんな文献を読んだのですか?
塩川:1回目は、法政大学の石山恒貴先生の『日本企業のタレントマネジメント』です。当日は著者の石山先生にもご参加いただき、ミニ講義をしていただいたり質問に答えていただいたりして、とても盛り上がりました。今はフッサールの『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』を読む会をやっていまして、こちらはさすがに動画は作っていないのですが、章ごとにまとめたものを発表し、質疑応答があった後、ブレークアウトルームでディスカッションする、といったスタイルで読み進めています。マニアックな本ですが、なんと7名も集まってくださっています。こんな風に、声を掛けたらたくさんの人が集まって一緒に勉強会が開けるような人たちに出会ったのはこれが初めてですし、そうした人たちと共に学びあう機会がいただけているというのはとても贅沢なことだなと感じています。こうした読書会や勉強会は今後も続けていきたいですね。
―今後、LDCで学びたいと思われている方に向けて一言お願いします。
塩川:先生も同期も、自分が学びたいと思ったことがあって、ボールを投げれば、しっかりとボールが返ってくる環境だなと感じています。先日も、中原先生に「研修転移について興味がある」とご相談したら、研修転移の研究をなさっている関根雅泰さんをご紹介いただきました。そういう意味では、受け身でいてはもったいない。学びたいことがある人にとって、とことん学びを深められる大学院だと思います。