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  • 2020.11.07
  • 授業
  • 初めてのオンキャンパス対面授業が実現! 人材開発・組織開発論2/データアナリティクス演習1

 10月24日(土)、LDC初となる対面授業が立教大学池袋キャンパスで行われました。さわやかな秋晴れの朝、赤レンガ造りの校舎に絡まるツタも赤く染まり、中庭のイチョウも黄色く色づいています。


 4月入学以降、初めて池袋キャンパスを訪れたLDC第一期生たち。大学構内に入る際には、入り口で検温、手指消毒が義務付けられています。同級生を見つけては、「初めまして~対面では(笑)」と声を掛け合うマスクの下には嬉しそうな表情が隠れています。教室は大きな窓からキャンパス内の美しい景色が一望できる5階の明るい大教室。中原淳先生と藤澤広美先生が出迎え、「初めまして。なんだか不思議な感じですね」「思ったより背が高いんですね」などと、入学後半年経っての初対面を楽しんでいました。


 授業前には事務局の加藤走さんから感染予防対策について注意事項の説明がありました。教室は200名収容可能な換気のいい大教室で、十分に間隔を開けて座れるよう、座席も指定されています。教室に置かれたカメラは2台。授業の様子はZOOMで同時配信され、前方のスクリーンには自宅から受講する在学生が写し出されています。全員マスク着用、フェースシールドも配布され、手持ちマイクはビニール手袋をして使用するなど、感染症対策も万全にされた中での、ハイブリット授業です。


 1、2時限、8時50分~12時25分の人材開発・組織開発論2では、人材開発・組織開発プロジェクトの中間成果報告会が行われました。人材開発・組織開発論2では、9月19日のキックオフにてオンライン上で発表されたグループ毎に、実際のクライアントに対して人材開発・組織開発コンサルティングに取り組みます。


 はじめに中原先生から「ようやくみなさんにお会いできて嬉しく思います。人材開発・組織開発論2はクライアントワークの要諦を学ぶ授業です。今回のプロジェクトの特徴は、初めてリアルクライアントを対象に人材開発・組織開発を行っていく、という所にあります。リアルクライアントには、様々なステークホルダーがいて複雑な要素が絡み合っていますし、こちら側の想定と先方の考える時間軸が合わないなど、いろいろ難しいところが出てくるなど、思い通りにいかないこともあるかと思いますが、それも含めてグループで体験し、学びにつなげていただけたらと思っています。人材開発・組織開発の世界は理論を知り、サイエンスを取り入れることも大切ですが、プラクティショナー(実践者)としてそれらを誰に対してどう適用するのか、関係者とどう関わっていくのか、というアートの部分もまた重要です。その意味では、人と人とが身体を持って関わるということも大切なことですので、今回、このような対面授業の場を設けさせていただきました。今日の中間成果報告会では、他のグループからも学べることは多いと思いますし、互いにフィードバックしあうことで、より良いプロジェクトにしていただきたいと思います」とのお話がありました。


 続いて、5グループのプレゼンテーションタイムがスタートしました。1グループ15分で、クライアント企業(組織)の概要、組織内の状態、解決したい課題の分析(データも含む)、参考にしたい理論や先行研究、どのような働きかけを行い、どのような変化をもたらすか、プロジェクトのゴールをどのように設定するか、といった内容をプレゼン。対象組織の規模も大小様々、業種もメーカーから人材派遣、小売など様々ですが、どのクライアントも若手育成、離職防止、合併後の組織開発など生々しい課題を抱えています


 各グループとも、人事担当者や現場のキーパーソンへのヒアリングやES調査の分析結果などをもとに課題の抽出を行いますが、リアルな人事課題というものは一筋縄ではいかないもの。若手社員の課題と思われたものが、実は経営者側の方にも課題が見えてきたり、組織自体にも課題が見えてくるなど、実際は複数の課題が絡み合っていたりするものです。プレゼン後15分のフィードバックタイムでは、中原先生が論点をホワイトボードにまとめ、解くべき課題をあぶり出すためのポイントを指摘。受講生からも的確なフィードバックがあり、活発なやりとりがされていました。


 中原先生は「この授業はリーダーシップ開発コースの最終ゴールへの助走です。LDCはチームから始まり、個で終わるという設計になっています。このプロジェクトは来年度、個人で取り組む『リーダーシップ・ファイナル・プロジェクト』に個人で取り組むための最終準備となります。引き続き、グループでのクライアントワークから多くを学んでいってください」と述べ、授業を締めくくりました。



 お昼休みには在学生同士揃って池袋の街へ。大学周辺は飲食店が豊富にあり、少人数のグループに分かれて昼食を取りました。



 3、4時限13時25分~17時00分までは山口和範先生、田中聡先生、藤澤広美先生によるデータアナリティクス演習1の授業が行われました。昨今ではマネジメントの意思決定にデータを活用する「エビデンス・ベースド・マネジメント」が主流となっています。そのため、人事領域においても、より効果的な⼈材開発・組織開発・リーダーシップ開発を実現するためには、データアナリティクスについての知見が不可欠なものとなっています。この分野を学ぶうえで避けては通れないデータアナリティクスについて学ぶ授業が、データアナリティクス演習です。9月に始まり、5週目にあたるセッション9、10では、各自、持参したPCに統計解析ソフト「SPSS」をインストールし、実際にSPSSを扱いながら統計分析を行う方法を学んでいきます。


 授業の冒頭では、田中聡先生が「今日はみなさんにお会いできて嬉しいです。対面の授業は半年ぶりなので、なんだか慣れない感じですね。ここまでデータアナリティクスを学んでみていかがでしょうか?『あ、データアナリティクス、ちょっとおもしろいかもしれない』と思えてきた方もいれば、やや難しくなってきて『???』となっている方もいらっしゃるかもしれません。画面越しにもそうした様子が伝わってきました(笑)。今日は実際にSPSSを触っていただき、多変量解析を学んでいただきます。皆さんには、それぞれの分析手法の具体的な計算方法まで覚えていただく必要はありません。どういう仮説に対してどんな分析手法を用いれば良いのか、また分析の結果をどう解釈するのか、といったことをSPSSに触りながら学んでいただけたらと思っています」と挨拶しました。


 その後は山口和範先生にバトンタッチ。山口先生は「みなさん、こんにちは。みなさんに対面でお会いするのは2月の入試以来のことかと思います。あの頃は、まさかこんなことになるとは思っていなかったので、今、無事にみなさんにお会いできて嬉しいです。今日これから使い方を学ぶSPSSとは、社会科学分野でよく使用される統計分析専用のソフトウェアです。理論を全て理解することは難しいですし、その必要もありません。みなさんがインターネットの仕組みを知らなくてもインターネットが使えているように、まずは『SPSSを使うと、今までエクセルでやっていたことがこんなに簡単にできるんだ』といったことを感じていただければと思っています。そして、後半では、複数の変数を使って分析を行う多変量解析とはどういうものかを、ざっと学んでいただけたらと思っています」と、授業を始めました。


 統計科学、統計計算、統計教育がご専門の山口先生。前方のスクリーンに手元のSPSSの画面を映しながら、操作方法を一つ一つ丁寧に解説していきます。受講生は各自、持参したノートパソコンにSPSSを立ち上げ、先生の指示に従ってデータを読み込み、変換し、グラフをつくるところまでを体験。操作方法が分からない、同じ画面が出てこない、といった人には、田中先生、藤澤先生が席を回って直接指導。実際に同じ画面を見ながらマンツーマンでサポートできるのは対面授業の良さです。また、後から動画で見直すこともできるよう、授業の様子は操作画面と共に山口先生の解説が一緒に録画されています。


 休憩をはさんで、授業後半には、回帰分析、ロジスティック回帰分析について、実際にSPSSを用いながらレクチャー。専門的な話になるにつれ、やや困惑した表情を浮かべる受講生もいましたが、山口先生は「みなさんは、今後、実際に調査をしてデータを集め、分析をしてなんらかの報告書の形にまとめる、という実習をしていただくことになります。今日は、その前段階として、実際にSPSSを使うときは、こんな感じのデータが必要になるんだな、といったイメージを持ってもらえたらと思っています。来週、再来週と2週間は秋休みとなっていますので、その間に実際にSPSSを使って分析の練習をしてみてください」と話し、授業を終えました。


 授業終了は17時00分。授業後は希望者に向け、キャンパスミニツアーが行われました。事務局の加藤さん、藤澤先生が先導し、まずは国内の大学でも屈指の規模を誇るという図書館へ。在学生は自習スペースとして使うこともできるほか、書籍を予約して受け取ることもできるとのこと。その後、入学式、修了式が行われるタッカーホール、パイプオルガンのコンサートなども行われるチャペル、LDCの在学生が使える大学院生室もあるマキムホール、東京都の歴史的建造物にも指定されているツタの絡まる赤レンガが美しい本館、12月になると点灯されるクリスマスツリーのある正門前の庭などを巡り、解散となりました。


 在学生たちは「先生やクラスメートに会えてよかった」「他の方々の反応が分かって良かった」などと話し、池袋キャンパスでの1日を楽しんだようです。LDCでの学びの日々はまだまだ続きます。