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  • 2020.08.06
  • 授業
  • LDCオンライン化の舞台裏を語る 中原淳教授、藤澤 広美助教インタビュー

7月11日(土)「リーダーシップ・ウェルカム・プロジェクト」の最終授業後、担当の中原淳教授と藤澤広美助教にお話をうかがいました。(取材・文 広報担当 井上佐保子)


  中原淳教授(左)と藤澤広美助教(右)


―「リーダーシップ・ウェルカム・プロジェクト」が無事終了しました。今、3か月を振り返ってみて、いかがですか?

中原淳先生(以下敬称略):ほっとしていますね。リーダーシップ・ウェルカム・プロジェクトは、2つの意味で初めての試みだったので、上手くいくのかどうか、大きな不安がありました。1つは、大学院レベルでチームでの課題解決を行いながら、リーダーシップ開発の理論を学ぶということはどこの大学でもやっていない初めての試みですので、課題の難易度や進め方は適切だろうか、などいろいろと心配でした。


―もう1つはやはり、オンラインになってしまったということですよね。

中原:そうですね。オンラインに、という話になったのは3月の初めごろのことでした。当初は大学構内から授業をビデオ配信する、といった方向で機材などの準備を進めていました。それが難しいことが分かり、スタッフ、教員全員が自宅からZOOMでつないで実施する、という方向に切り替えたのが開講約2週間前のこと。
山口和範学部長が「学びを止めない」という方針のもと、早期に決断してくださったことが奏功したように思いますが、直前に授業コンテンツを全てオンライン用に組み立て直すなど、もうバタバタでした。よく無事に走り終えることができた、というのが率直な感想です。
なんとかここまで来られたのは、教員陣、スタッフも全員がチームとして協力しあって授業づくりができたこと、なによりも集まってくださった志の高い受講生のみなさんが、自主的に協力しあって、至らぬ部分をカバーしてくださったことが大きかったように思います。よく考えてみると、この難局をなんとか乗り越えられたのは、奇跡に近いこと。ほんとうにありがとうございましたと皆さんにお伝えしたいです。


―藤澤先生はいかがでしたか?

藤澤広美先生(以下敬称略):私も同じです。授業がオンラインに決まった時はとても不安になりました。私自身、オンライン授業を担当したことはなかったので、先生方や受講生をしっかりサポートすることができるだろうか、というところが一番心配でした。


―藤澤先生はZOOMの操作がスムーズで、とても慣れていらっしゃる印象ですが、以前から使っていらしたのですか?

藤澤:会議などで使ったことはありましたが、今回の授業のために本格的に学ぼうと、ZOOMに関するオンラインセミナーなどがあれば片っ端から参加していました。実際に学びのコミュニティに参加して受講者としての経験を積み、そこで得た知識やスキルをLDCで実践する、といったことを繰り返しながら習得していった感じです。最初は初心者だったのですが、経験が蓄積されてきたことで、今ではサポート側の自信もついてきました。


―ご自身でなにか気をつけていらしたことなどありますか?

藤澤:「対面で行われる授業と変わらないクオリティの学びを提供したい」という思いがありましたので、受講生のみなさんがオンラインで学ぶことへの不安をできる限り軽減できるよう心掛けていました。
ちょっとしたことですが、受講生が教室に早めに来ても大丈夫なよう、授業開始時刻より少し早めにZOOMを開いておいたり、授業での緊張がほぐれるように、休憩時間にはリラックスできる音楽を流したり。
授業中は、受講生の方々の表情を見て、不安そうな方や困っている方がいないかなども観察するようにしていました。なにより、こちら側が円滑にインストラクションできないと、受講生にも変な緊張を与えてしまうので、落ち着いてスムーズに授業を進められるよう、準備をしっかりとするようにしていました。受講生に恵まれたこともあり、大きなトラブルなく進めることができて良かったです。


―リーダーシップ・ウェルカム・プロジェクトが終了し、まずは最初の大きな山を1つ乗り越えたのではないかと思いますが、受講生にはどのような成長を期待しますか?

中原:リーダーシップ・ウェルカム・プロジェクトによって「ここまで到達してほしい」といったものはありません。むしろ「もやもやをいっぱい感じてほしい」と考えています。
ここが、民間の教育施設での学びと大学院での学びとの決定的な違いだと思っています。民間の教育施設は、一回完結の講座を一回、または複数回まとめてパッケージで提供するような形式です。一方、大学院では、このリーダーシップ・ウェルカム・プロジェクトだけでも14コマあり、授業外での活動や課題に取り組む時間を含めると膨大な時間を費やすことになります。
こうした授業が2年間で30回ほどあるわけですから、一回の授業で学びを完結させる必要はありません。むしろ、もやもやが残ったり、興味や疑問が深まったりしたことを、次の授業へとつなぎ、時間をかけてじっくりと探究していってほしいのです。最終的に2年間修了した時点で、「確かに得たものがあった」と思ってもらえることが、我々の本望です。

LDCの学びはまだまだ続きます。