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  • 2020.06.20
  • 授業
  • 「戦略、組織、⼈材」の全体像を知る「戦略的人的資源管理」

 必修科目の一つである「戦略的人的資源管理」は5月30日(土)からオンライン授業が開始されました。毎週土曜13時25分から17時00分まで、7日間全14回の授業で学んでいきます。担当は組織マネジメント、⼈材アセスメント、⼈事制度、ピープルアナリティクスがご専門の佐々木聡先生。
 パーソル総合研究所でコンサルティング事業本部の統括責任者をなさっている“人と組織”に関わるコンサルティングのスペシャリストです。


 「戦略的人的資源管理」では、「企業経営の主要素となる『戦略、組織、⼈材』それぞれの基礎理論と、相互関連性を歴史的な背景を踏まえて体系的に理解し、最新動向を知ることで、今後の⼈的資源管理の展望を考察できる⼒を⾝につける」ことを目指しています。


 どのような授業が進められているのでしょうか。6月13日(土)第5回、第6回のオンライン授業にお邪魔しました。授業のテーマは「⼈材戦略・⼈事戦略の基礎理論と実例」と「組織の基礎理論 ①組織構造(ケーススタディ)」。


 前半は、企業の「事業戦略」と「人材戦略」、「人事戦略」の関係についての講義。その後のブレークアウトルームでは、各自が選んだ企業について「事業戦略」と「人材戦略」「人事戦略」「組織構造」との関係を考察する課題発表をしました。自身が勤めている企業をテーマに選んだ受講生も多く、「自社の人材戦略について初めて知った」という人もいたようです。
 後半のテーマは「組織構造」についての講義の後、パナソニックの企業戦略の変遷を扱ったケーススタディに取り組みました。ブレークアウトルームでは、市場環境の変化により、パナソニックの企業戦略がどのように変遷したのか、なぜそうした戦略変更が行われたのかをディスカッション。それとともに組織構造がどのように変わっていったのかを考察していきました。「戦略的人的資源管理」とは、難易度の高そうな科目名ですが、様々な概念同士のつながりが見える化され、むしろ頭の中がすっきり整理されるような授業でした。


 非常に広範囲の内容を扱う「戦略的人的資源管理」ですが、佐々木先生はこの授業で大切にしている点について次のように話します。
 「『戦略的人的資源管理』はかなり広範囲の内容を扱っています。そこで、まずは内容を『戦略』と『組織』と『人材』の3つに切り分けて整理しました。といっても、この3つがバラバラなままでは意味がありません。日頃から、人事は人事の人だけが、組織変革は経営者だけがやっているなど、この3つが全体最適されていない企業が多い、という課題を感じていましたので、この3つのつながりを見せること、橋を架けることを意識した授業を心がけました。また、範囲が広いため、今どこの何をやっているのかということが分からなくなって迷子になってしまいがちです。そこで、歴史的な観点ではこう、事業戦略的な観点ではこう、などと様々な切り口で整理したマップを示し、常に全体像を示しながら進めるようにしています」(佐々木先生)


 人事制度の構築など人事全般のコンサルタントとして30年以上のキャリアを有する佐々木先生ですが、最大の強みは、人材の能力や資質などの特性を評価する「人材アセスメント」です。
 「長年、人材の見える化や組織の見える化など、外から見えにくいものをいかに見える化するか、というところをやってきました。昨今では、人事制度の見直しを図る企業が増えていますが、その際には必要となるのが、等級制度などの評価基準の見直しです。人材の流動性が高まる中、これまでのような社内だけの基準でなく、マーケット基準でアセスメントを行わなければ、優秀な人材に長く活躍してもらうことができなくなっているからです。同時に必要なのが、リーダー人材を選抜するために、過去からの実績だけではなく将来の可能性をアセスメントする、という観点です。このように、アセスメントに課題のある日本企業は多々あり、そうしたところは、ぜひ授業の中でも伝えていきたいと考えています」(佐々木先生)。


 「人材アセスメント」に関しては授業の後半で取りあげる予定になっており、「楽しみにしていてください」とのことでした。受講生たちの学びはまだまだ続きます。